地域が主役!ツーリズム 神戸産官学・観光シンポジウム
神戸夙川学院大学(神戸市中央区)で3月8日、神戸観光シンポジウム「地域が主役!KOBEツーリズム」が開かれた。地域連携による観光振興を考えようと、地元企業や市民団体、大学、行政など約150人が参加した。
意識の統一がカギ 求められる「プラットフォーム」
シンポジウムは神戸商工会議所、同大学、神戸市、国土交通省神戸運輸監理部が4者共同で初めて開催。これまで様々な立場で試みられてきた観光振興への取り組みや、観光への意識を共有し、地域全体で神戸観光の魅力を発信する機運を醸成しようと企画した。
同大学観光文化学部教授の小野田金司さんが「神戸観光プラットフォーム―大学が目指す地域観光人材育成」を講演。観光プラットフォームを「地域が主役の観光まちづくりに不可欠」と位置付け、神戸での導入のポイントを語った。
小野田さんは、地域主導型観光の重要性に触れ「神戸が持つ多様な観光資源をつなぐ"フック"の存在が成功のカギ」と神戸型プラットフォームの必要性を論じた。なかでも人材育成は地域と市場を結ぶ重要な要素として大学を中心に質の向上を図るべきと強調した。
産業や行政など各立場からの事例発表では、産官学が参画する「YOKOSOみなとまち神戸コンソーシアム」から事務局の同監理部総務企画部企画課長の塚本量敏さんが、2月に実施した産業観光ツアーを説明。「準備から催行までで課題や手ごたえをつかみました。今後、商品づくりを進めるため地域連携を深めたい」と話した。
市観光コンベンション推進室の中西理香子さんは、神戸が舞台の来年のNHK大河ドラマ「平清盛」による観光振興策を紹介。「神戸観光の起爆剤とするために市などが仕組みをつくるが、おもてなしやPRの面で地域の皆さんの協力がないと成り立ちません。市全体で盛り上げていきましょう」と呼びかけた。
商業界から兵庫ヤクルト販売社長の阿部泰久さんによる商店街観光の取り組み、同大学学生のアートによる神戸の魅力発信なども発表された。
パネル討論では「魅力あるKOBEツーリズムに必要なものとは」をテーマに議論。観光プラットフォームについて、神戸港で旅客船事業などを営む早駒運輸の渡辺真二社長は「神戸が弱いのはこの点。まだ意識がばらばらで、観光振興に取り組む核がほしい」と指摘し、阿部さんも「気持ちで負けている。地域をまとめる組織を」、ティエラコム・GE事業本部副本部長の西村典芳さんも「動きやすいアクティブな組織が必要」と見解が一致した。中西さんは「情報を集約、整理する場を基本に、『清盛』を盛り上げるためにもプラットフォームづくりができれば」と話した。
加えて、神戸観光の魅力向上に向けて、各氏から「住民にもっと自信をもってもらい、観光に関わってもらえるようプラットフォームなど仕掛けづくりに取り組もう」という声があがった。
神戸では観光振興に対して地域内の意識の統一の欠如を指摘する声があった。しかし、この日は参加者から同意する声や笑いが起き、この後開かれた名刺交換会にも参加者の大半が出席するなど地域連携への意識向上を感じさせた。