手配旅行の自由化 全旅九州沖縄・新年の集い講演会
全旅九州沖縄が開いた新春の集い(1月26日)で、「旅行業の未来設計」と題し、全旅協顧問弁護士の三浦雅生さんが講演。昨年2月に観光庁がJATAとANTAに出した旅行業法改正試案について解説した。
ANTA顧問・三浦弁護士が旅行業法改正案を解説
その一つに「手配旅行の完全自由化」がある。「日本の業法は厳しすぎる」という規制緩和の中から出た動きだという。三浦さんは例としてNPOや旅館などが行う「星空観測ツアー」や「海辺の散歩ツアー」を挙げた。これらは現地集合という形で実施されているが、主催者側からは現地までの移動、つまり"足"を自分たちで確保したいという要求が出てきた。観光庁では、手配旅行の自由化によって、この種の着地型旅行の活性化を期待しているという。
第3種旅行業者については▽保証金の引き下げ▽募集型実施の要件引き下げも試案として示されている。後者は、現在旅行代金20%に規制されている前受金の上限を引き上げ、ノーショウ対策につなげようというものだ。観光圏内の代理業者も現状ではチェーンホテルなどは取得できないのを改める案がでているほか、着地型旅行に限って取扱管理者を細分化する特定旅行業務資格を創設する動きもあるそうだ。
標準約款の廃止と届出制も俎上にあがる。どこの会社でも取消料の発生日、率が同じなのは「合法的なカルテル制度」という見方から生じた。一部旅行会社ではすでに「取消料は20日前からで結構です」とうたう会社もあり、三浦さんは「1万社の競争が始まる?」と話す。
一方で、消費者に対する責任は厳格化される。その際たるものは、企画旅行の一次責任を問うもので、例えば海外旅行時のバス事故はこれまで現地バス会社に一次責任があったが、改正案では旅行会社がその責を負うことになる。
刺激的な試案に、三浦さんは「一方的に反対するのではなく、JATAとANTAで逆提案していくべきだろう」と助言した。