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観光まちづくりが必要なこれだけの理由 藻谷浩介さん講演・近畿運輸局主催

「今、観光まちづくりが必要なこれだけの理由」と題し、日本総合研究所の藻谷浩介主席研究員が講演した。近畿運輸局が実施する観光まちづくりコンサルティング事業の一環。藻谷さんは、マクロ経済の視点からも観光まちづくりの必要性を説いた。

「訪日客誘致で日本も黒字に転換」

講演の冒頭、31年ぶりに貿易赤字に転落した日本が再び黒字化する問いを参加者に投げかけた。ともすれば震災の影響で輸出が減ったと思いがちだが、藻谷さんは国が公表しているデータを示しながら「対米、対EU、中国との貿易は黒字です」という。ではなぜ赤字なのか。「アラブから原油を買っているから」。だから答えは、節電省エネを徹底すること。

貿易赤字の原因を景気やものづくり大国の不調に求めるのは勘違い。どんどんエネルギーを使って製造業にまい進すると、輸出額と輸入額のバランスが崩れるだけ。また原発を再稼働しても使用済み核燃料の最終処分が決まっていない以上、コスト的にいずれは破綻をきたすと指摘する。

藻谷さんは「製造業の技術開発支援や製造業の誘致というと格好がいいけど、油を使わずに外貨を獲得できる方法があるでしょ。それが観光まちづくりなんです」。貿易で大赤字のアメリカがやっていけている理由は、旅行収支で世界一黒字が多いこと。日本もモノを売るだけから、観光客誘致で黒字に転換することを勧める。

国内的にも現役世代が減って、モノに興味がない年寄りばかりが増えている。だからこそ「訪日観光が本格化しているアジア人に来てもらい、減りゆく日本の人口を補って、日本のモノを買ってもらいましょう。うまく取り込めたところは大チャンスですよ」と藻谷さんは話すのだった。

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