熊本に元気と明るさ届ける にっぽん丸「天草・軍艦島周遊クルーズ」(1)
商船三井客船の「にっぽん丸」(2万2472トン)が5月25日、熊本県天草市の本渡港に寄港した。4月の地震後、熊本県内にクルーズ船が入港するのは初めて。熊本産の食材を大量に仕入れたほか、乗客も天草観光を楽しみ、熊本の復興を応援した。
地元と乗客の交流深まる
クルーズは広島港発着で2泊3日の「天草・軍艦島周遊クルーズ」。震災から日が浅く「熊本へ寄港していいのか悩んだ」(にっぽん丸関係者)そうだが、広島をはじめ全国から330人が乗船した。
波穏やかな瀬戸内海を進み関門海峡で関門橋をくぐり、世界文化遺産の軍艦島を間近に見学。特に軍艦島は島の周囲を1周半して眺望、クルーズならではの体験だった。
天草・本渡港では直接接岸せず、テンダーボートで乗客を運ぶ。港に上陸すると、天草の旅館女将がお茶や菓子を振る舞い、牛深ハイヤ踊りが披露され乗客を歓迎した。震災の影響を微塵も感じさせず、地元の人たちも乗客も笑顔で言葉を交わす。このあと、乗客はイルカウォッチングなどのオプショナルツアーに向かった。
船内では、にっぽん丸の歓迎セレモニーが行われた。天草側からはにっぽん丸に焼酎や海苔の特産品が贈られ、にっぽん丸からは乗客330人から集まった義援金、記念プレートが手渡された。
にっぽん丸の川野惠一郎GMは「観光することが不謹慎ではないかと心配していましたが、温かく迎えていただき感激しています。天草に寄港して本当に良かった」。
熊本県天草広域本部の三角浩一本部長は「お越しいただきありがとうございました。天草から熊本の元気をお届けします」と話し、観光に支障がない天草を発信してほしいと依頼した。
本渡港での停泊時間は8時間ほど。出航時には地元の漁船が見送りに並走し、多くの乗客がデッキから手を振った。
商船三井客船営業グループの松本士郎課長は「私たちのクルーズは、寄港地での交流を促す着地型、地旅だと思っています」と胸を張った。
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