観光産業の“革新”を学ぶ 都市活研とFITが講座開講
既存の観光産業の革新や起業を志す人に広く門戸を開く「観光イノベーションアカデミー」が始まった。公益財団法人都市活力研究所とFITが開講したもので、持続可能な観光立国の実現に向けたプラットフォームづくりを視野に入れる。今年度はトライアルとし3月まで計4回の講座を無料で開講する。
初回の講座は12月4日、まちづくり観光研究所の山田桂一郎主席研究員が講演。大阪市北区の都市活力研究所セミナールームには約20人が集まった。
観光マーケティングの概論をテーマに話した山田さんは「観光は、農林水産業や商工業などいろんな産業を巻き込んでやる産業です。どう自立させるのかという地域を経営する視点が観光業には欠かせません」とし、自身が基盤を置くスイス・ツェルマットの地域経営の手法を伝えた。
ツェルマットは名峰マッターホルンを望む風光明媚な村だが、村を訪れるには馬車か電気自動車しか手段がない。村全体のベッド数はここ30年間、約1万3千床でほぼ変わらない。
「泊まらないと来られない村なので、入込客数は変わりません。リピート率も高い。それでも観光消費額が増えるのは単価が上がるからです。リピーターの単価を上げるためには、ひたすらサービスを進歩、進化させているということです」
「ツェルマットには電気自動車の会社が2社あり、ハムやチーズ、地ワインを製造しています。電力も自給です。結果、観光客の使うお金が外に出ず地域内で回ることになります。地域全体で稼ぐ視点が、ツェルマットを選ばれ続ける観光地にしているのです」
だが、山田さんは資源が豊富で多様性のある日本の方が稼げると断言する。「コンテンツとは素材です。コンテンツの本質的な価値をプロダクトして次世代につないでいくことこそ求められているのです」と伝えた。
講演後、参加者と車座になって質疑、意見交換をした。
観光イノベーションアカデミーは次回1月18日、吉日媒體行銷有限公司の吉田皓一氏さんが海外マーケットについて話す。
詳細はFITのホームページ(http://f-i-t.jp)から。
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