日本遺産「竹内街道・横大路」を行く 悠久の歴史ストーリー、点を面に表現できるか(2)
ストーリーの確立と情報発信 地道に歩み進めて
ツアー後に開かれた意見交換会でも参加者の多くが同様な印象を持ったようだ。「恋みくじ」で若者の支持を集める松原市・布忍神社、日本最古の本格的仏教寺院である明日香村・飛鳥寺、日本三文殊のひとつの桜井市・安倍文殊院、伝建地区の橿原市・今井町などは高評価だった反面、「街道を感じられるところが少ない」という意見が少なくなかった。インバウンド専門旅行会社や留学生からの「日本“最古”や“らしさ”は魅力的」という声も上がり、個で際立つ素材を生かすためにも、街道全体のストーリーの確立が誘客、商品化へのカギを握る。
「商品化するには、まずは消費者に知ってもらわないと」という、参加した旅行会社が道中語ったという言葉も強く印象に残った。「知らない」旅行先には消費者も興味をもちようがない、まずは地元が一体となって情報発信をしてほしいという、旅行会社として当然の声だ。
竹内街道・横大路も、今回の参加者の大半が存在を知らなかったように、地元以外の知名度は高いと言えない。今回は官主体の取り組みだが、地元の「民」の観光振興への認識、参加意欲はどうなのか。堺市・金岡神社で地元ガイドが話してくれた「竹内街道は間違いなく面白い。ただ、あまり知られておらず、かなり売り出さないと厳しいと思います。なんとか地域の誇りを知ってほしいですね」という声が現状を端的に物語る。
意見交換会では「まずはネームバリューを上げる情報発信をしてからの方が商品販売できるのでは」と結びに声があがっていた。
1400年の物語は一朝一夕にできないが、まずは地元から歴史浪漫を発したい。
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