「新しい観光スタイルへの挑戦」、カギはDX 日観振、オンラインで新春観光フォーラムを開催(2)
JTBの髙橋広行会長もデジタルトランスフォーメーション(DX)が話の中心に。旅行業はDX化が「待ったなし」の状態であるとし、「肝に銘じたいのは、今後の旅行業はデジタルの力を借りて新たな価値を見出すこと。タビマエ・ナカ・アトで商品の価値を感じてもらうことに尽きる」と論じ、観光型MaaSの重要性を語った。
MaaSにより宿泊やアクセス、現地での体験などバラバラだったコンテンツを一元化、オンラインでワンストップで提供することは日本人、訪日外国人旅行者、事業者、地域にとって有益だと強調。地域コンテンツを登録、販売、決済まで可能にする「JTB MaaS API gateway」構想を「地域の事業者と旅行者のマッチングサービス」として例に挙げた。
他社やDMOにも開放、業界をつなぐツーリストプラットフォームとして流通を促進。「これに今までのつながりを交えて持続可能なニューノーマルツーリズムを実現させたい」と、今年秋口までの開始を模索する壮大な構想について熱弁をふるった。
J・フロント リテイリングの好本達也社長は、百貨店業界から見たアフターコロナの観光について論じた。コロナ禍でインバウンド需要が蒸発した今こそ再成長へ課題解決に取り組む好機と捉え、百貨店と観光は店舗ごとに特異な関係性を持つことを視点に、地域の魅力を取り上げた「ローカルを極め、グローバルに発信する」ということが重要だと力説した。
全国知事会会長の飯泉嘉門・徳島県知事はコロナ禍を受けての全国知事会の観光への対応を説明。京都府でのデジタル技術を使った新しい観光案内版や鳥取県のキャンプによるワーケーション誘致、徳島県の阿波おどりの復活企画など各地の取り組み事例も紹介し、ニューノーマルな旅への対応は「行政がリスクを取ることも重要。実現へ知事会としても挑戦していく」と決意を語った。
矢ヶ崎教授は、各氏の講演から「新しい観光スタイルをいよいよ実体化しないといけない時になった。ビジネスモデルを変える、過去と決別するという痛みに勇気をもって挑戦することへ心を合わせ、観光がひとつ上のしたたかな強さを持ったステージへ向かいたい」とまとめた。
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