地熱発電と温泉文化の両立 日本温泉協会、3年ぶりに会場総会開く
日本温泉協会(1218会員、笹本森雄会長)は6月21日、神奈川県箱根温泉の湯本富士屋ホテルで2022年度総会を開いた。コロナ禍で会場に集まり総会を開くのは3年ぶり。
22年度事業では温泉利用時のコロナ感染拡大防止対策を引き続き進める。また、日本の温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けた取り組みを強化するほか、温泉検定事業などを行う。役員改選では笹本会長を再任した。
笹本会長は「地熱発電対策では担当の佐藤好億委員長が環境省と精力的に意見交換を行ってきました。2050年にカーボンニュートラルを目指す国の方針もあり、地熱発電の注目度が高まっていますが、当協会としては有意義なエネルギー政策と限りある温泉資源の保護の両立を訴えていきたい」と話し、活動に協力を求めた。
これに対し来賓の環境省温泉地保護利用推進室の北橋義明室長は「年間1億3千万人が温泉宿泊するなど、日本で温泉文化は浸透しています。地熱発電は従来の温泉利用に影響を与えないことが最低限のラインです。その上で地域共生型の地熱利用として養殖、ハウス栽培、暖房など温泉熱の利用を図っていきます。地熱利用の1つが発電ですが、皆さんの不安がないようにやっていきます」と理解を求めた。
また、同協会学術部委員会の前田眞治委員長は「当協会は学術部があることで、学問的に正しく対応できる機能を持つ唯一の団体だと自負しています。今年度は持続可能な温泉業界のあり方としてテレワークと温泉の需要について情報発信するほか、訪日旅行者の受入れ再開にも備えたい」などと話した。
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