季刊誌「やまとびと」が発行100号 奈良の魅力と情報発信とは―紙に保存する価値考える
奈良県桜井市で印刷業と旅行業を営むやまとびと(堀井清隆社長)の会員制季刊誌「やまとびと」が発行100号を迎えた。このほど記念講演会を奈良市の平城宮いざない館で開き、100人が参加した。1300年の歴史がある平城宮跡で、奈良の知られざる魅力と今後の情報発信のあり方を語り合った。
基調講演で、春日大社の元権宮司で現在は奈良県立大学客員教授の岡本彰夫さんが「大和の人は今も心の中で日本の中心意識を持ち続けているらしい。しかし現実は古いモノや行事があり過ぎ、これが特別だということに気づかず、大和の素晴らしさを一番理解していないのではなかろうか」と提起。
パネルディスカッションは「奈良の知られざる魅力と情報発信について」がテーマ。フリーライターの増田隆さんは「奈良県の77・9%は吉野郡。吉野を知らないと奈良を知ったことにはなりません」。やまとびと副編集長の栗野義典さんは「奈良の表面だけを見ていては潜在的な魅力はわからない。目に見えないところにこそ、奈良の本質があります」。United Will代表理事の反町慶治郎さんは「京都は短時間で歴史や文化の魅力を知ることができます。奈良はそうはいきません。時間をかけて回らないと奈良を知ることはできません」。ホテル尾花の中野聖子さんは「奈良はいくら勉強しても知らないことばかり。奈良に来ないと分からない情報がお土産になる宿にしたい。魅力に憑りつかれて奈良に移住しようと思う人を増やすことを目標にしてガイドを行いたい」と語った。
岡本さんは「SNSなどは情報をむやみに消費しているだけで発信と消滅を繰り返しています。情報は紙に保存し残さないといけない。これからも『やまとびと』はしっかりと大和の情報を発信し保存するという大きな役目があり頑張ってほしい」とエールを送った。
堀井社長は「今年、父が印刷会社を創業して57年を迎えました。私自身、今日お集まりの方々や岡本さんのご支援がなければ今の自分はありませんし『やまとびと』の創刊もなかった。今日の講演会も社員が考え、準備して開催することができました」と人の支えで今日があると強調。「これからも奈良の魅力を知っていただけるよう『やまとびと』の発行に注力したい。やまとびとツアーズでは知る人ぞ知る『とっておきの奈良の旅』を提供し、当社でしかできない内容のツアーを造成していきたい」と改めて決意を示した。
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