旅行会社の辛口意見を誘客に生かす-熊本・苓北町 無料に価値はない/見せる工夫を
数百年にわたって熊本県・天草の政治や経済、文化の中心だった苓北町。町のシンボル的存在の富岡城址は、天草四郎率いる一揆軍が攻め落とすことができず、島原・天草一揆(島原の乱)が早期に決着した要因になったことで知られる。
その富岡城址を核とし、観光客誘致に本格的な取り組みを始めた苓北町では11月2―3日の2日間、関西の小規模旅行会社10数社を招いて、モニターツアーを実施した。プロの目から見た観光素材に関して感じたままの辛口の意見を聞き、これからの観光客誘致に生かそうという試みだ。
ツアーでは、不純物が少なく世界最上級とされる陶石を使う天草陶磁器の窯元内田皿山焼、天草でオリーブを育て加工品を販売する福田オリーブ園、創業150年以上の老舗和菓子店で名物「柿大将」で知られる黒瀬製菓舗、苓北観光汽船によるサンセットクルーズなども視察した。
視察に合わせ行政や地元事業者との意見交換、地元高校生の観光素材研究発表会も行われた。
意見交換で旅行会社からは「無料であることを施設の特徴と言っているところもあったが、無料の施設に観光客は行こうとはしません。無料の施設に価値はないと判断するからです。良いものであればお金を払ってでも見たい、知りたいというのが今の主流」「富岡城址が生かされていません。もっとビジュアルで『見せる』工夫が必要」「サンセットクルーズの時間配分や案内、この地ならではのクルージングでないと遠方から来る観光客は満足しない」「宿泊した施設の温泉の泉質が素晴らしい。アピールすべき」「内田皿山焼によるたこ壺の生産量は日本一というのなら、たこ壺を使った料理など活用方法を検討してみては」との声があがっていた。
今回のツアーでは、九州への交通機関の魅力を伝える目的もあり、往路は大阪南港から新門司港まで名門大洋フェリーの新造船に乗船。復路は今年10月に開通した西九州新幹線に乗車した。
名門大洋フェリーに関しては「これまでの雑魚寝、料理への不満足といったことが一新されており、フェリーへの認識が変わった」という声が多く聞かれた。
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