独創性を生かし地方誘客 JRC観光振興セミナー、訪日客は主要ルートからの距離
リクルートのじゃらんリサーチセンター(JRC、沢登次彦センター長)は全国7会場で観光振興セミナーを開催している。「じゃらん観光国内宿泊旅行調査2024」からひもとく国内の旅行実態、「インバウンド都道府県ポジショニング研究2024」に基づく地域ごとのインバウンド主要周遊ルートについてなど、データを活用しながら持続可能な観光に向けて研究員が解説する。
7月26日に開かれた関東・甲信越ミーティングでは冒頭、大野雅矢旅行Division VicePresidentが「観光需要は急回復している一方、観光DXや人材不足など新たに向き合わなければならない課題が出ている。地域の観光産業の発展の道筋を一緒に考えていきたい」とあいさつ。
後援する観光庁の河田敦弥観光戦略課長はインバウンドについて「オーバーツーリズムや人手不足、三大都市圏への観光客の集中といった課題に対して、地方への観光客の分散といった取り組みを進めていきたい」と話した。
沢登センター長は国内・インバウンドに関する観光の状況と、地域誘客視点での持続可能な観光戦略について解説。地方誘客を成功に導くためには「誰が、何を、何のためにやるのか」の3つの視点から「圧倒的な当事者意識を持った民間のリーダーシップ」「観光事業者と地域住民の生活水準と誇りの向上に向けたウェルビーイング」などの必要性を説いた。また、地方誘客につながるポイントとして①独創性を生かす②地域住民の観光理解を高める③高付加価値を起点とした稼ぐ好循環サイクル④伝える力を身に付ける⑤テクノロジー導入&データ利活用⑥2次交通網を整える⑦地域の観光人材の確保・育成・定着―の7項目を挙げた。
森戸香奈子主席研究員は、宿泊旅行調査の結果に基づき「男性によるひとり旅」「若い女性による友人との旅行」の傾向をデータで示した。宿泊旅行目的によるクラスター分析については「『宿+温泉+アルファ』『名所観光地方都市』の2クラスターにおいては、差別化が難しい」と報告した。
松本百加里研究員は、インバウンド都道府県ポジショニング研究について解説。インバウンド10市場エリアルート戦略タイプ分類や市場別の全国主要周遊ルート概要MAPなどを披露しながら、「全国主要周遊ルートに入っているか」など周遊ルートからの距離から見た戦略立案、ターゲットの選定の必要性を説いた。
研究発表後には、沢登センター長、森戸首席研究員、松本研究員に髙橋佑司地域創造部部長を加えてQ&Aセッションを実施。「高付加価値化」「観光人材」「ウェルビーイング」「国内観光旅行」「観光客の分散」「差別化」「他地域との連携」の7つのキーワードについて、事例や知見による課題解決手法などを紹介した。
セミナーは自治体関係者や観光振興に関わる人が対象で、今後8月27日に沖縄、8月28日に九州、9月2日に関東・甲信越(2回目)の開催を予定している。
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