巨樹・巨木に清水寺のモデル 京都市北部山間地域、京旅協が商品化へ モニター
京都市の中心市街地に集中する観光客に郊外の魅力を発信しようと、京都府や京都市から「京都市北部山間地域の持続的まちづくり支援事業」を委託された京都府旅行業協同組合(森野茂理事長=アルファトラベル)が11月6日、京都市左京区の山間地域へのモニターツアーを実施した。花脊(はなせ)地区にある普段では拝観できない大悲山峰定寺(だいひざんぶじょうじ)とそのご神木となる花脊の三本杉などを視察した。
摘草料理の宿として知られる美山荘に隣接する峰定寺は、京都市最古の木造建築で、鳥羽上皇の勅願によって平安時代末期の久寿(きょうじゅ)元年に創建された。本堂は舞台造建築としても日本最古と伝わる。京都市東山区にある清水寺は舞台造建築の代表格として知られるが、峰定寺はその清水寺の原型になったという。
山全体が聖域で、仁王門から本堂までの参道は歴史的自然環境保全地域となっており、仁王門から先は携帯電話や諸々の持ち物は預けなければならず、登山中の私語、撮影も禁止。「六根清浄」と唱えて登るようにと指示を受けて石の階段を登る。往復で30分ほどの時間がかかる。
なお、同寺では毎年5月3日からの3日間(不定)、11月3日から3日間(不定)にわたり収蔵庫特別拝観日を設けている。
峰定寺から川沿いの林道を30分ほど歩いたところにあるのが花脊の三本杉。東幹、北西幹、西幹の3本の杉が根元で一つになっていて、樹齢は1200年。峰定寺の御神木として古くから信仰の対象として崇められてきた。なかでも東幹は2017年の林野庁の調査で樹高が62・3㍍あることがわかり、日本で一番高い杉の木であることが認定された。北西杉も60・7㍍で、日本で2番目、西幹も57・2㍍で第5位となっている。周囲が山に守られた谷底にあるため、台風や落雷の影響を受けることなく、巨樹として成長してきたものと考えられている。
次に向かったのは国道477号沿いの春日大社のイチョウの巨木。樹高は約40㍍で圧巻だ。イチョウの巨木から国道477号を少し車で走ったところにあるのが通称・眼鏡橋といわれる石造りのアーチ橋。京都では珍しいアーチ橋だが、残念ながら道路からだと草やコケが橋を覆っていて、通り過ぎてしまう。この橋は明治時代に若狭湾でとれた海産物を京都の中心地へ届ける道の一部として架けられたものだという。
花脊地区の素材は中山間地域ならではの魅力ある素材が残り、京都の市街地では見ることができない「京都」を感じることができる。参加した旅行会社も今回初めて知ったという人が多く「清水寺の舞台造建築のモデルが峰定寺であったことは知らなかったし三本杉もすばらしかった。アーチ橋も隠れたままですのでなんとか商品化につなげたい」と話していた。
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