楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

スポーツ観光元年2012(1) 「スポーツ観光を始めよう!」

観光庁がニューツーリズムとして強力に推進するスポーツ観光。国内観光活性化、インバウンド拡大の起爆剤にしようと、普及活動からスキーム構築まで幅広く取り組みを進めている。国主導で展開してはいるが、スポーツが持つ観光・交流へのポテンシャルの高さが認知されはじめ、最近では地域レベルの動きも活発化してきた。「観光で日本を元気に」。その意味でも本格的な飛躍が期待される今年は、いわば「スポーツ観光元年」。その取り組みの今を数回にわけて迫っていく。今回は導入編として、観光庁が目指す方向性を紹介したい。

"本気"の観光庁 まずは地域の"やる気"を喚起

観光庁が唱えるスポーツ観光の定義は、スポーツを、プロ野球やJリーグなどの「観る」、マラソンや登山などの「する」、大会支援ボランティアやチーム運営などの「支える」の3分野で捉えたもの。いずれも周辺観光と組み合わせることで地域活性化、交流人口の拡大、インバウンド誘致といった効果が期待される。

Jリーグチームを運営した経験を持つ溝畑宏長官就任以来、「スポーツ×旅行」の可能性を見逃す手はないと推進への取り組みを活発化させてきた。さらに、両分野の融合で「新しいライフスタイル」を作りたいとの思いがある。

スポーツ観光をどう推進していくかは行政やスポーツ団体、観光関連団体などを交えた「スポーツ・ツーリズム推進連絡会議」を組織し、2010年5月から約1年間にわたり検討。推進への指針となる「スポーツツーリズム推進基本方針」を11年6月に策定した。

今後これに沿ってスポーツ観光推進は進められていくわけだが、国家レベルのプロジェクトともなると窓口となる実行組織・体制が必要不可欠。それが「スポーツツーリズム推進連携組織(JSTA)」だ。基本的な方向性である(1)スポーツコンテンツと観光まちづくり(2)国際大会の招致・開催(3)旅行商品化と情報発信(4)人材育成・活用の4分野を実行していく。

具体的な取り組みは、地域と中央の橋渡し、まちづくりの支援、国際大会・スポーツ大会の誘致、地域と旅行会社、スポーツ団体のマッチングによる旅行商品化の支援、海外への情報発信など多岐にわたる。国、地域、スポーツ系企業・団体、観光関連企業・団体など産学官で連携しスポーツ観光によって地域活性化、新たなビジネスを創出するという壮大な展望にオールジャパンで臨む。

設立に向けては昨年11月から勉強会を開始。全5回の開催で機能や組織運営のあり方を検討し、4月の設立を目指す。

では、現場レベルの実情はどうだろう。スポーツ観光が観光業界にもたらす効果を具現化させたものは旅行商品だが、昨年観光庁が香川・高松でのプロバスケットボール試合観戦とアート鑑賞など実証実験を行うなどしたが商品造成は本格化に至っていない。

その前に、まずは舞台となる地域への浸透と"やる気"の喚起が課題となる。東京や大阪、神戸といった都市部での大規模マラソンイベントは大いに賑わい、周辺ホテルが満室になるなど地域への経済効果も大きいことを証明したが、「どの地域でも(スポーツ観光が)できると思っているが、うちの地域ではできないという自治体が多いのが現状のイメージ」と観光庁スポーツ観光推進室の坪田知広室長が話すように、全国レベルで展開するには、まだまだこれからというのが実情だ。

そこで始めたのが「スポーツ観光人材育成研修」。まず、初級編として11―12月に全国8カ所で開いた。テーマは「スポーツ観光を始めよう!」。今回はとにかくスポーツ観光とは何かを地域に知ってもらい、普及しようというのが目的だ。

購読申し込み
地旅
夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ