LCC初めての夏(1) 半年で60万人突破、好調さ背景に増便も
LCC(格安航空会社)元年の今年、関西空港を拠点に3月から就航したピーチ・アビエーションは半年間の搭乗客数は60万人を突破し、平均搭乗率も79%と当初見込みを上回った。初めて迎えた夏の旅行シーズンは、国内線のお盆期間の利用率で94・3%に達した。航空代金の安さにひかれ初めて飛行機に乗ったという客も少なくない。財団法人日本交通公社が行ったセミナーとあわせて、LCCによる旅行市場拡大の見通しを探った。
利用客高評価も「着地の実感」が課題か
ピーチが9月4日に発表した就航半年間の搭乗者数は国内線、国際線を合わせて60万4103人で搭乗率79%だった。就航当初に取りざたされた定時運航率は89%で、大手の9割超に比べると若干低かった。就航率は99%で、欠航はわずか1%だった。
ピーチの井上慎一CEOは「就航から半年。高い搭乗率と、安定したオペレーションで迎えられた。これからも全社一丸で運航品質の向上に取り組んでいく」という。
夏のピーク時8月10―19日に限って利用実績をみると、国内線では提供座席3万9600席に対し3万7348人が搭乗した。利用率は94・3%だった。
路線数が多いため単純比較はできないが、大手国内線の同期間の利用率はANAが73・2%(前年同期79・0%)、JALが74・1%(同82・4%)だった。方面的にLCCとの競合の激しさが推測される北海道ではANAが76・5%(同83・7%)、JALが77・8%(同85・4%)。同様に九州ではANAが69・9%(同75・2%)、JALが67・0%(同78・2%)。利用率全体が前年より微減ではあるものの、多少はLCCの影響は受けたものと推測される。
ピーチでは好調な搭乗率を背景に10月28日―13年3月31日の年冬ダイヤで長崎線を除く各線で増便する。関空―札幌、福岡、鹿児島でそれぞれ1往復2便増やす計画だ。10月18日に2往復4便で運航を開始する関空―那覇線も2月1日から3往復6便に増便する。
ただ、こうした好調さを着地側ではなかなか実感として伴っていない面もある。大手旅行会社の調査で、LCC利用客が「運賃が安くあがったぶん、現地の滞在費を増やしたい」という意向を持っているとの結果が出ていたが、北海道や九州の観光関係者に聞くと「その姿は見えない」というのが少なくなかった。