楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

針路は「船に泊まろう」―フェリーさんふらわあ(2) 顧客満足への意識

弾丸フェリーは、夜に乗って朝に着くというのは皆知っていますから、それをどう表現するかがテーマでした。大手旅行会社がサッカー観戦のツアーに現地ゼロ泊の「弾丸ツアー」の名称を使い、商標登録もされていました。それを念頭に「弾丸」という言葉は浸透しているので、弾丸フェリーにしました。弾丸フェリーは往復で乗っていただくので1万円です。片道が5千円で安いと思われるかもしれませんが、うちにとっては空気を運んでいることを思えば安くありません。「船に泊まろう」の発想の延長線上なんです。

利益への意識と顧客重視のバランス

こうした企画も、基本は顧客満足をどう上げるかです。それがない限り何をいくらやってもダメです。乗客が生涯で何回リピーターになるか、今ではなく人生の中でどれだけお金を払っていただけるのか、それを社内の定義としました。安いからたくさん乗っていただけるというものではありません。700人の定員ならゆっくり乗ってもらう仕掛けをすべきで、値段を上げても人数を絞った方がいい。お客様には1万円払って良かったと思うサービスをしない限り絶対に2回目は乗っていただけません。そのため、お客様からのアンケートを重視しています。お客様からコメントをもらってすぐできることには対応を促すということを繰り返しています。

フェリーさんふらわあ

大阪―別府航路を進む
「さんふらわあ あいぼり」

―料理やサービスがこれまでとは大きく変わったように思います。

料理は画期的に変わったと思います。船旅は料理が重要です。質だけではなく見た目も含めて。特に昼便では大分、別府航路でフードコーディネーターをつけて郷土料理を出していますし、お昼の弁当も関西の割烹料理店で作っていただいたものです。今はレストランで儲ける必要はありません。もう一度乗ろうと思っていただける内容にしています。往復1万円で利益が出るのだから100円、200円の利益を追うなと言っています。

―昼便の状況をもう少し教えてください。

11年から始めてその年が4回、昨年5回、今年は4回になります。乗客数は平均250―300人。700人定員の半分にしています。マーケット料金は通常の倍。昼便はリピーターが多く値段の高い方から売れていき、通常とは異なります。集客は新聞広告とネットです。旅行会社にも最近は売っていただいています。1人旅が多く、旅行会社のツアーだと1人旅が60人でした。我々の個札を含めると3分の1が1人旅です。年配の方が増え、彼らはパブリックでいろんなことをして休むのは1人というスタイルを好みます。

針路は「船に泊まろう」―フェリーさんふらわあ(3) まだまだ発展途上の産業に続く

1 | 2 | 3

購読申し込み
地旅
夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ