熊本上天草を歩く(1) トレッキングの島に
熊本県上天草市で2月、トレッキングフェスティバルが初めて開かれた。自治体として唯一2つのコースがある九州オルレ、九州百名山に選ばれている龍ヶ岳など市内のフィールドを歩くイベントを2月中の土日祝日に実施。なかでも2月8日には、オルレ発祥地の韓国から俳優のチョン・ジュノさんを招き、参加者と一緒にトレッキングを楽しんだり、同市の川端祐樹市長とのトークショーなども行われた。海がメーンの観光地に登場したトレッキングという新たな潮流。イベントの概要と市長の話から上天草市の取り組みをレポートする。
唯一オルレ2コース インバウンドにも
オルレは、韓国・済州島で始まったウオーキングスタイルの総称で、もともと「通りから家に通じる狭い路地」という済州島の方言に由来する。世界遺産にも登録されている自然が豊かな済州島でトレッキングする人が徐々に増え、韓国ではたいへん人気が高い。
九州では2012年から、九州観光推進機構や九州運輸局が主導し「九州の自然や温泉を五感で感じ、自分のペースでゆっくり回る」をコンセプトにコース選定が始まった。12年2月に4コース、13年2月に4コース、同12月に2コース、今年3月にも2コース追加され、現在12の九州オルレコースが設定されている。
各コースは全長11―20キロ弱で、済州島と同じく自然が豊かで歴史や地域文化を感じられるようになっている。昨年でおよそ3万人が各コースを歩いており、韓国から歩きに訪れる人も少なくない。
上天草市では、維和島コースと松島コースが設けられている。一つの自治体で2コースあるのは上天草市だけ。オルレ選定後は年間で約3千人のトレッキング客が訪れている。それまでトレッキング目的で上天草を訪れる人は限られていたので、オルレによって広く知られるところになった。来訪者の3割は韓国人でインバウンド増大にも効果を生んだ。