大阪・中之島に経済と文化の街「フェスティバルシティ」が開業(2)
それはハード面だけではなく、ソフト面でも準備を進めている。3月、タワーの基幹施設であるフェスティバルホールで、「大阪フィルの夕べ&防災訓練コンサート」を開催した。大阪市北消防署の協力を得て実現したもので、同ホール初めての試みだ。
一般顧客やフェスティバルタワーで働く人、演奏団体、音楽関係者、他の劇場関係者ら約2400人が参加し、大阪フィルハーモニー交響楽団による約70分の演奏会の途中に、震度6の地震が発生するという設定。ポイントは、その状況でホールのスタッフがいかに安全に誘導し、避難させるかというものだ。
演奏会の途中でホール内の照明が消えた途端、赤いユニフォームを着たスタッフたちが片手に黒地に黄色の文字で「ご着席ください」と書いたパネルを持ち、もう一方の手にライトを握りパネルに当てて、観客に見えるように高く掲げて案内。観客がざわめき席を立つことを防ぎ、落ち着いた状況をつくった。その後、順次扉に近い席から避難を開始し、階段を使い、階下のホールへ誘導。全員無事に避難終了した。
同ホールでは年間約300の公演が開催され、連日2千人を超える来場者がいるという。防災訓練は、スタッフの意識と対応力を向上させていくのがねらい。
ハードもソフトも揃ったところで、いよいよ本格的に街がスタートする。その皮切りが「第55回大阪国際フェスティバル2017」だ。4―11月までクラシックの演奏会が今年はフェスティバルシティ・オープン記念として開催される。なかでも4月28日は、上方ゆかりの舞踊が楽しめる「花舞台浪速賑」となっており、その内容を紹介しよう。
演目は、まず大阪を発祥とする楳茂都流で、京都の花街、宮川町のみ伝承されている上方舞「手打唄 梅の小袖」。通称「大阪締め」と呼ばれる独特の手打ちを織り込み、同町の芸妓・舞妓が華麗に舞う。続いて、大阪に生まれ大阪で発展した上方舞の山村流・山村友五郎による上方舞「三ツ面椀久」、瀬戸内美八、南風舞など元タカラジェンヌ星組トップスターらによる「宝塚、春爛漫」、そして、片岡愛之助などのよる歌舞伎舞踊「三人連獅子」の4部構成。案内役は桂米團治で、軽妙な語り口と伝統と文化の香り漂う上方舞の醍醐味を味わえる。
7500円(税込み、全席指定)から。学生は1千円。