地消地産で"感幸地" 山田桂一郎さん講演・阪急阪神HDセミナー(1)
阪急阪神ホールディングスがグループ会社のPR力向上を目的に開催しているセミナーで、トラベルニュースat本紙で「NATO廃絶」を連載している山田桂一郎さんが講演した。「選ばれ続ける地域になるために~地域資源を活用した観光地づくりのポイント」と題し、阪急電車と阪神電車の沿線活性化につながるヒントを話した。
冒頭、山田さんは「観光地づくりを目的にしてもうまくいきません。地域が魅力的にならないと観光はない」と言い切り、何のために取り組み最終目的を明確にして共有することが大切だと話す。
山田さんが拠点を置くスイス・ツェルマットのまちづくりをこう紹介した。「近江商人の三方よしは、売り手よし、買い手よし、世間よしです。スイスはそこに未来、将来よしを加えた"四方よし"という視点を大切にしています。住民が幸せになり、まちが豊かになるという目的がどんなプロジェクトであっても中心に据えられています」。
ツェルマットは年間200万泊でここ数年変化していない。急峻な地形のうえ環境保全のため宿泊施設の新築や増築ができないためだ。「数を増やすことができないのであれば、どうするか。まちが自立して持続的に豊かになるためには単価を上げるしかありませんし、実際ツェルマットでは単価がどんどん上がっています」と山田さんは言う。
ビジネスだけの視点では宿泊施設を大きくして、新しくすればいいのだが、ツェルマットが将来に渡って選ばれる理由を考え、まちの環境を維持していくために施策として数の拡大はないという考え方だ。それを山田さんは「ビジネスだけで社会は存在できない」とし、住民も観光客も幸せになる「感幸地こそが観光地づくり」と語った。
→地消地産で"感幸地" 山田桂一郎さん講演・阪急阪神HDセミナー(2)に続く
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