ファーストキャビンが飲食業に本格的に進出 あべの荘/大阪
今や進化形カプセルホテルの代表格となっているファーストキャビン(東京都)。飛行機のファーストクラスをイメージした部屋創りは従来のカプセルホテルのイメージを払しょくし、さらには利用客の夢を掻き立てる。既存施設の平均稼働率は約9割といい、いかに利用客の心をつかんでいるか想像に難くない。
宿泊主体のホテルだが、飲食業に進出。すでに東京の築地や愛宕山のホテルでカフェバーを併設し、新規事業展開をしている。さらに新たな業種業態として4月1日開業したのが『鉄板 紀尾井坂』である。
大阪市阿倍野区の「ファーストキャビンステーション あべの荘」の敷地内に立地。ホテルと同じ「コンパクト&ラグジュアリー」をコンセプトに、「別荘でおかかえシェフの料理を楽しむ」をイメージして造られた。店内から庭が望める開放的な空間で、床面積は約80平方メートル。カウンター9席、テーブル10席、テラス6席の計25席。
料理長は大阪市内の一流ホテルで約30数年間腕を振るい、鉄板焼きの経験が長い超ベテラン。「素材を楽しむ」をモットーに、料理長選りすぐりの国産牛を旬の食材とともに提供する。ワインの種類も豊富に用意しており、料理に合わせて楽しめる。
「鉄板で調理する料理」(料理長)を心がけ、ディナーはもとより、朝食や昼食も提供する。朝食はフレンチトーストの「朝食セット」(650円)、ランチは「ステーキ重」(1200円)、「サーロインひつまぶし丼」(1200円)など、創意工夫のあるメニューだ。ディナーはコース料理で5000円、7000円、9000円の3種類。ワインはボトルで2500円前後から、というリーズナブルさ。コストパフォーマンスの高さはいうまでもなかろう。
営業時間は7―10時、11時30分―14時30分、18―23時。水曜定休。朝食は毎日営業。
ちなみに店名の「紀尾井坂」はファーストキャビン発祥の地から名付けたとのこと。
「ファーストキャビンステーション あべの荘」は昨年10月にオープン。新ブランド「ファーストキャビンステーション」の第1号店となる。JR西日本不動産開発が所有するJR西日本の福利厚生施設だった築35年の旧安倍乃荘を改装。緑豊かな庭備え、鉄道の車内をモチーフにした内装を特徴とする。
敷地面積約2224平方メートル。建物は地上3階建て、延床面積約1631平方メートル。キャビンはビジネスクラス101、ファーストクラス11、プレミアムクラス17の計129キャビン。ラウンジや大浴場、喫煙室などを設ける。
宿泊料金はビジネスクラスキャビンが1泊3900円から(税込)、ファーストクラスキャビン同4900円から(同)、プレミアムクラス1泊1室8000円から(同)。
運営はファーストキャビンとJR西日本が共同で設立したJR西日本ファーストキャビンが担当する。今後も沿線を中心に複数施設を展開していく計画だ。
ファーストキャビンは、このほか阪急阪神ホールディングスや近鉄グループなど鉄道系の企業と連携を進める一方、旅館の再生にも乗り出し、出店を加速化。国内外で約100施設の展開を目指す。
(井村日登美=ホテルジャーナリスト)
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