SNSが旅を変えた JTB総研、日本人の国内旅行を調査
JTB総合研究所(野澤肇社長)はこのほど、「進化し領域を拡大する日本人の国内旅行」の調査研究結果を発表した。目まぐるしく変化する観光の環境を社会、人の意識の変化という側面から分析。現在と未来の国内旅行の本質を解きほぐしている。
調査対象は過去1年間で1泊以上の国内旅行をした全国の男女。インターネットアンケート方式で9月に実施、2062人から回答を得た。
2018年の日本人の国内延べ旅行者数は5617万8千人。市場は縮小しているが、旅行者数、消費額ともに横ばいもしくは微増で、旅行意欲の減退はない。
観光の志向は、SNSの登場によって、観光地側が発信する情報で行動するのではなく、個人とのネットワークが観光に与える影響が大きくなった。若者世代ほど旅先で地元の人との交流を望む結果が出ており、「ネットワーク」「交流」が旅のキーワードになってきた。
近年、日本人はどのような国内旅行をしているのか。「遠方」の回復、旅行日数も2泊3日、3泊4日など長期化が目立つ。最近の国内旅行について思うことを問うと、若い世代ほど「ある目的に特化した旅行をするようになった」、「SNSでの発信を目的に旅行するようになった」と、ここでもSNSの影響の大きさを感じさせる結果に。
訪日外国人旅行者が急増したことについては「混雑する観光地に行かなくなった」28・2%、「自然環境が悪化するので増えてほしくない」23・4%が上位になるなど、否定的な意見が目立つ。一方で若者世代は「日本の良さを再認識した」「経済面で地域活性化するので増えてほしい」とプラス思考に捉える声も多く、世代間ギャップは明確になっている。
調査では生活スタイルの変化と観光の関係性にも迫る。前述の「交流」を求める志向変化は、特定の地域に対し、深く知りたいや支援したい、好きなところに住みたいなどの思いにつながり、再訪意向が高まっているよう。いわゆる「関係人口」化を示すもので、関心のある滞在の形態は20、30代男性は「二拠点生活」20・7%、「長期滞在」19・2%など、長期的な滞在への関心の高まりをうかがわせる。
そのほか調査では、業務旅行で観光も行う「ブリージャー」、休暇中に業務する「ワーケーション」といった、「労働と観光」も分析。調査結果から、同研究所では「若い世代を中心に『暮らすと泊まる』『出張と観光』がボーダレスに。旅行の概念は広がりつつあり、旅行・観光は領域を拡大し、市場を広げる可能性がある」と指摘している。
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