消費者と生産者をつなぐ 地域活性化研究所・橋本太郎所長の“思い”/アグリカルチャー
「麒麟がくる」丹波で商品開発
「おくさま印」のブランドで米の卸・販売業として全国的に知られる幸南食糧(本社・大阪府松原市、川西孝彦社長)グループが2018年8月、各地の農産物に新たな価値をつけて販売し、地域活性化の支援を行うことを目的に設立した地域活性化研究所。
「農産物が一定のルートに守られて流通・消費されるだけの時代は終わろうとしています。農産物には生産者の思いがあります。その生産者の思いを大切にし、地域性を活かした商品を作ることで地域の発展を応援するのが当研究所です。消費者と地域生産者をつないで地域活性化に貢献するとともに、生産者の思いを形にすることが我々の使命だとも思っています」と話すのは、地域活性化研究所の橋本太郎所長。自ら、生産地の企画戦略アドバイスや販路の相談・指導を行う6次産業化プランナーの資格を持つ。
実際、生産者にとっては、市場で売れる農産物の商品開発や、訴求効果の高いパッケージと広告の制作、百貨店・高級スーパー・通販といった販路開拓などに効果的な取り組みを行うのはノウハウが乏しいうえ、ハードルも高い。そこで、農産物の企画開発から販売までのサポートを行うのが同研究所の役割だ。
例えば、福岡県では地元出身のイラストレーターによるイラストを米袋にデザインし、アイキャッチを高めて大手百貨店での流通につなげた。和歌山県のみかんジュースを首都圏向けギフトセットにするためラベルや箱のデザイン、販路提供までトータルでプロデュースした実績もある。
現在取り組んでいるのは、兵庫県丹波市氷上町の特産、小豆を使った商品づくり。
「丹波は戦国時代、明智光秀が大将となった織田信長軍に攻められたのですが、“丹波の赤鬼”と恐れられた赤井直正という武将が受けて立ち、打ち負かしたという歴史があります。最終的には直正が病死して負けるのですが、この秘話を元に小豆を使った赤飯を作り『赤鬼飯(あかおにめし)』と名付けて、商品化できるよう準備を進めているところです」
そう話す橋本所長が見据えるのは、来年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。明智光秀の生涯を描くことから、ドラマ放送に伴い、丹波地域の全国的なアピールを思い描く。地元の歴史物語も農産物に活用し、地域活性化に取り組む。
その一方で、北海道から沖縄まで小さくても輝くオンリーワンを持つ農山村が自立し、将来に向かって美しい地域であり続ける運動を行うNPO法人「日本で最も美しい村連合」の正会員として活動を支援しているほか、農林水産省の「農業女子プロジェクト」を応援するなど、同研究所の活動は多岐にわたっている。
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