神戸で一番おもしろい会社 伍魚福・山中勧社長に聞く(2) 地域貢献や観光事業も推進
コロナ禍もチャレンジで乗り越え
最近、そのプレゼンで生まれた商品に「クリームチーズ生ハム包み」がある。大手コンビニチェーンでも取り扱い、同社の冷蔵商品では売上第1位だ。「協力工場で味を極め、直営する梅田の阪神百貨店でも好評です」という。社員のアイデアから生まれたこの味は、他社では真似できないと自負する逸品だ。
さらに同社の特徴は、本社屋に隣接した研究所にもある。外観はお洒落気のない建物だが、一歩中に入ると伍魚福が誇る珍味、冷蔵商品がずらりと並ぶ。それぞれ社員が考えたPOPも掲示されており、売り場を再現した設えになっている。
「販売店に棚のレイアウトなどをご提案するために設けています。奥のカウンターは、珍味や酒の肴を食べながらお酒を嗜んでいただけます。うちの商品を食べながら一献傾ける商談の場です」と山中社長は笑う。
山中社長にはもう一つの顔もある。それは「いかなごくぎ煮振興協会」の事務局長。神戸界わいの特産でもあるイカナゴのくぎ煮は、今や地元のソウルフードでもあるが、実は一時廃れていた。「獲れすぎで肥料になっていて、漁師さんにとっても雑魚扱いでした。それを漁協の奥さまたちが売れる魚にしようと研究し、70年代後半からくぎ煮が市場に出回るようになったのです」。
本社屋がある長田の港がくぎ煮発祥の地であることから、山中社長は発祥の碑を建立したほか、くぎ煮コンテスト、くぎ煮文学賞など、地域を盛り上げる取り組みを次々に行っている。地域にとってのおもしろい会社も実践している。
「今春に商品開発担当者を倍増し、さらに『おもしろい会社』を目指そうという矢先、コロナ禍で弊社も影響を受けました。ただ家飲みが増えたせいか、7月からは前年を超える売り上げになってきました。心配なのは各地のお土産店やサービスエリアなどに卸している観光部門はまだ低迷していることです。当社に関わるすべての方々に喜んでいただくためチャレンジしていかなければならないと思っています」
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