【観光業界リーダー年頭所感】東海旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 金子慎 氏
年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申しあげます。
平素より、JR東海グループに対しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼を申しあげます。
昨年は新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出及び移動の自粛などの影響により、極めて厳しい経営環境となり、鉄道などのご利用が大幅に減少するなど深刻な影響を受けました。このような中、当社は安全・安定輸送の確保を最優先に、お客様に安心してご利用頂けるよう十分な輸送力を提供し、また車内の換気、駅や列車の定期的な消毒を行うなど感染拡大防止に努めました。
あわせて、ご利用回復に向けて、「ひさびさ旅は、新幹線!〜旅は、ずらすと、面白い〜」キャンペーンの一環として、新しい旅行スタイルである「ずらし旅」の提案を行ったほか、経営状況に鑑み、安全・安定輸送の確保や輸送サービスの提供に支障しないことを前提に、費用削減に取り組みました。グループ各社においても同様に、感染拡大防止に取り組みながら、収益・利益の確保に努めました。
一方で、安全・安定輸送のさらなる強化やサービスの一層の充実など、経営基盤強化に向けた取組みについても、引き続き着実に進めました。
東海道新幹線では大規模改修工事や脱線・逸脱防止対策など地震対策を進めたほか、3月の「のぞみ12本ダイヤ」の実現、7月の新型車両N700Sの営業運転開始など長期にわたり準備を進めてきた施策を結実させました。在来線においても地震対策、降雨対策、落石対策、踏切保安設備改良などを計画的に進めました。
営業面ではEXサービス(「エクスプレス予約」「スマートEX」)をより多くのお客様にご利用いただくための取り組みを実施しました。
中央新幹線については新たに山梨県内の高架橋で本格的な工事に着手するなど沿線各地で工事を着実に進めました。山梨リニア実験線では改良型試験車と既存のL0系車両を組み合わせた上で走行試験を再開しました。
海外における高速鉄道プロジェクトについては、米国連邦鉄道局がテキサスプロジェクトに特化した安全基準および環境影響評価の最終決定を公布するなど大きな進展がありました。
鉄道以外の事業についても、「東京ギフトパレット」や「日比谷グルメゾン」の開業など競争力や販売力の強化に努めました。このほか、これまでも不断に取り組んできた設備投資を含めた業務執行全般にわたる効率化・低コスト化をより一層強化しました。
迎えた2021年も厳しい経営環境が続きますが、鉄道事業者としての社会的使命を将来にわたり果たすため、安全・安定輸送の確保を第一に、引き続き弛むことなく、中長期的な観点から経営基盤の強化を図っていきます。
各種災害対策や東海道新幹線の大規模改修工事を引き続き着実に進めるほか東海道新幹線ではN700Sの追加投入、在来線では新形式の通勤型電車の315系の営業運転開始に向けた準備や次期特急車両HC85系の量産車の新製に向けた設計などの準備を進めます。
営業面では、EXサービスのサービス拡充のほか、「ずらし旅」など状況に応じた適切なご利用喚起に努めます。
中央新幹線は、引き続き「工事の安全」「環境の保全」「地域との連携」を重視しながら、品川・名古屋間の早期開業に向けて着実に取り組みます。鉄道以外の事業についても、各事業において収益・利益の確保に向けた取り組みを進めます。このほか、効率化・低コスト化の取り組みをより一層強化するとともに、安全・安定輸送の確保や輸送サービスの提供に支障しないことを前提に、費用削減を徹底していきます。
現在は感染拡大防止のために移動に慎重な方が多い状況ですが、今後感染が落ち着き経済が回復していくとともに、鉄道のご利用は徐々に回復すると考えています。
厳しい経営環境下ではありますが、引き続き感染拡大防止に努めつつ、輸送機関としての使命を果たしてまいります。本年も変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。
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