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【観光業界リーダー年頭所感】東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 深澤祐二 氏

謹んで新年のお慶びを申しあげます。

平素より、JR東日本グループに対し格別のご理解とご支援を賜り、厚く御礼を申しあげます。

当社グループはグループ経営ビジョン「変革2027」のもと、将来の環境変化を先取りした経営を進めてきましたが、新型コロナウイルス感染症により、その時想定した未来が10年早く目の前に現れたと考えております。人々の意識や価値観は大きく変化し、テレワークなど人の移動を伴わない働き方・暮らし方が普及しました。

厳しい経営環境の中、昨年は感染予防対策を徹底し、輸送サービスを中心とした当社グループの社会的使命を全うするとともに、将来に向けた成長の種を蒔いた年でもありました。高輪ゲートウェイ駅やウォーターズ竹芝といった新たなコンセプトの駅や複合施設を開業し、「新幹線eチケットサービス」などチケットレスに向けた取り組みも推進しました。そして常磐線の全線運転再開により、被災地域のさらなる復興への歩みも進めました。

本年は「変革のレベルとスピードを上げる年」と位置づけ、昨年9月に発表したポストコロナ社会に向けた対応方針「変革のスピードアップ」で掲げた、「成長・イノベーション戦略の再構築」「経営体質の抜本的強化」「ESG経営の実践」の3つの軸に沿って、「変革2027」の実現に向けた取り組みのレベルとスピードを上げていきます。

当社グループはこれまで、リアルなネットワークを活かし、様々な価値をお客さまに提供してきました。そのネットワークに磨きをかけ、鉄道、生活、IT・Suicaの3つのサービスを融合した新たな商品・サービスの提案と移動に頼らないビジネスモデルの創造、そしてコスト構造の改革に取り組んでいきます。

具体的には4月に始まる「東北DC」の成功に向け、質の高い輸送サービスの提供に加え、デジタルツールを活用した東北エリアにおけるMaaSの展開に取り組みます。また、STATION WORKの拡大や、オフピーク時間帯でのSuica通勤定期券のご利用によるJRE POINT還元サービスといった新しい働き方の応援に加え、「タッチでGo!新幹線」のエリア拡大や地域連携ICカード導入によるSuicaの共通基盤化の推進、JRE MALLの強化など、お客さまの新しい暮らしを提案していきます。さらに「ホテルメトロポリタン プレミア 台北」の開業など海外展開を着実に推進するとともに、列車荷物輸送の拡大など新領域への挑戦を進めます。そして「ゼロカーボン・チャレンジ2050」の達成に向け、風力、地熱、バイオなどの自然エネルギーの利用に加え、水素の活用にも取り組みます。

一方、鉄道事業のコスト構造の改革は急務です。安全性を担保しながら鉄道事業を健全に維持運営するため、事業の根幹に関わる輸送体系や運賃体系なども含めたあらゆる事柄について、抜本的な検討を進めます。輸送体系については、今春のダイヤ改正で終電時刻の繰上げなどを実施することで、鉄道工事における働き方改革を実現し、鉄道設備の改良・保守のスピードアップによるサービス向上につなげていきます。

引き続き経営のトップ・プライオリティである「究極の安全」を追求し、お客さま・地域の皆さまからの「信頼」を高めていくとともに、お客さまのニーズの変化に柔軟に対応し、地域社会とともにサスティナブルに成長する企業グループをめざしてまいります。

皆さまのますますのご健勝とご発展を心よりお祈り申しあげ、年頭のごあいさつといたします。

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