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【観光業界リーダー年頭所感】北海道旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 島田修 氏

年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申しあげます。

昨年、全世界を襲ったコロナ禍は、弊社の事業運営にも深刻な影響を及ぼしました。

駅や列車内の換気・消毒対策の強化や座席間隔をあけての指定席発売など、お客様、社員の感染防止に全力を挙げ、安心して鉄道をご利用いただけるよう努めましたがコロナ禍による減収影響は400億円を超える見込みであり、特急列車を含む在来線の減便・減車による動力費・業務費の削減や、役員報酬や管理職給与の自主返納、一時帰休の実施などによる人件費削減など最大限のコスト削減を実施しました。

また、設備投資の実行時期の見直しなどで資金の確保を図り、公共交通機関の使命である安全な鉄道サービスを提供するため、事業継続に全力を挙げました。

このような状況の中、長期経営ビジョンの目標である経営自立に向けて実施可能な施策を着実に推進しました。

安全に関しては、「安全アドバイザー会議」を新たに開催したほか、車両更新などの設備投資や軌道などの設備修繕は当初計画どおり進め、安全性の維持・向上に取り組みました。

鉄道の利用促進に向けては、快速「エアポート」の毎時5本化などを実施し、新千歳空港アクセスの輸送力を強化したほか、北海道の観光需要喚起策を活用した「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」、Go Toキャンペーン対応商品の設定などでご利用の回復に努めました。また、北海道新幹線ではこの年末年始の貨物列車の少ない特定時期に「時間帯区分方式」による最高時速210キロの営業運転を実施しています。

開発・関連事業については、宿泊特化型ホテル「JRイン」を函館と札幌に2館開業したほか、高齢者専用賃貸マンション「ブランJR」2棟を開業しました。

加えて、札沼線北海道医療大学・新十津川間については5月7日に鉄道事業を廃止し、より利便性が高い新たな交通体系に移行しました。また、10月には日高線鵡川・様似間について、沿線自治体の皆様に今春の鉄道事業廃止に合意をいただきました。

2021年は、東日本大震災から10年、そして石勝線事故から10年の年となります。コロナ禍収束はいまだ見込めないものの、年後半には終息していることを期待し、新年は様々な思いを込め「復興、再生、そして再出発の年」としたいと考えております。

鉄道収入回復に向け「東北6県DC」「北海道新幹線開業5周年」企画の展開や、東急との共同企画「THE ROYAL EXPRESS」の運行、多目的観光特急「はまなす編成」「ラベンダー編成」の活用、東京オリンピック・パラリンピック開催時の円滑な輸送サービスの提供など、コロナ禍後のV字回復施策を積極的に展開してまいります。

また今後の鉄道利用形態の変容を見据え、春のダイヤ改正において特急列車の一部季節列車化、普通列車の一部土休日運休・減便を行うほか、関係者のご理解とご協力を得て無人駅の廃止や駅維持費用の地元一部負担を実現し、より筋肉質な運営体制をめざします。

加えて、会社発足以来、鉄道事業の側面支援を目的に拡大展開してきた旅行事業について、ウェブ直販化など事業環境の変化を受け実店舗の縮減を段階的に進めてまいりましたが、2月をもって旅行センター店舗による対面型販売をすべて終了いたします。

開発・関連事業については、苗穂駅直結で建設した弊社初の分譲マンションが今春入居開始となるほか、札幌駅前の再開発事業について、環境アセスメント手続きを進めてまいります。

さらに、日高線鵡川・様似間について、より利便性を高めた新たな交通体系へ4月に移行すべく準備を進めてまいります。また、地域の皆様とともに8線区で策定する「第2期アクションプラン」を着実に進めてまいります。

本年は、国からの支援の根拠となる「債務等処理法」の期限を迎えます。

まずは徹底した自助努力により経営改善の「目に見える成果」を挙げて、所要の法改正に向け全国の皆様のご理解をいただけるよう全力を挙げてまいります。

長期経営ビジョンに掲げた2031年度経営自立の目標は変えないものの、withコロナ、afterコロナなどの社会環境の変化に合わせたさらなる経営構造改革を断行し、「鉄道の活性化とまちづくり」に貢献する企業グループ、「お客様と地域から信頼され、誇りをもって働ける」企業グループの実現に全力を挙げてまいります。

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