【観光業界リーダー年頭所感】一般社団法人奈良県旅行業協会 会長 中川宜和 氏
新年あけましておめでとうございます。
昨年からの新型コロナウイルスでオリンピックも一年先まで吹っ飛ばし、旅行業界も大きく変わりました。今は緊急事態宣言や営業時間短縮、自粛でお客様の旅行先を決める要素が変化しつつあります。日本の経済はデフレ脱却と言われ続けた政策のなかで旅行、観光ともにインバウンドに助けられていた部分が、コロナ禍でまったくと言っていいほどなくなりました。さらに、以前から旅行や観光の底流にあったバス料金や不景気感、デジタル化の遅れが顕著に表れ始めています。
急速に進化するデジタル技術がお客様が予約される姿を大きく変えましたが、多くの中小規模旅行会社はビジネスモデルに転換する動きや反応が鈍く、OTAから大きく遅れをとりました。新型コロナウイルスと共存していくために、それらの旅行会社は変革をせざるを得ない時代になりました。例えばオンラインツアーやマイクロツーリズムなどが動き出しています。その多くの企画内容が歴史や神社仏閣であることは、地元に詳しい私たちには幸いです。地元に詳しい我々ANTA会員である全国約5600社の仲間と今こそ何らかの形で意見交換を行い情報共有していく必要があります。
旅行企画時に信頼できる仲間がいるといないでは、喜びと安心が各段に違います。お客様も会員も各々の信頼できる仲間からの情報をそれなりに持っておられます。旅のプロとして最も大事なことは「信頼には信頼で応えるべき」であり、さらに我々が今どの時点にいるのかをしっかりと確認しなければいけません。
そして信頼できる感性を共有できる会員と厳しい議論を展開する必要があります。「目的」が一緒なのに意見が違ってくるということは、意見の内容ではなく立ち位置の違いにあるのではないかと思います。行き先が見えない組織には不安が残ります。「目的」がなければ旅する価値はありません。これからの旅行会社は自社の持ち味や得意技を磨き、取り組む「目的」に向かって自社にとって何が適正か「自分らしく」判定すれば持味や得意技が生かされます。
旅する行動は、自分自身が喜びを感じ、迷わず追及できるものに価値があります。全国の名所や旧跡、施設、観光地は大切な宝物です。「人が誇りを取り戻す旅をすること」の時代の始まりです。旅行業に携わる我々中小規模旅行会社は「なるほど、そのことはやりがいがある」という気持ちを持ち続け、旅行業人としての誇りを取り戻すことも重要です。今我々ができる精一杯の仕事ができるよう全国会員が今こそ協力し合い、業界全体でこの窮地を乗り越えていく必要があります。お客様のためではなくお客様の立場から旅の目的をしっかり捉え、提案や提供することで厳しい情勢のなかでもお客様から我々が必要とされます。また組織や人間の価値は今の時ほど見え始めてきて良かったと思います。新型コロナウイルス禍のなかで、お客様から選ばれる時代に、また組織や人間の価値は今の緊急事態の時ほど見え始めてきて良かったと思います。
「元気で自分らしく︱」で本年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。多謝
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