【観光業界リーダー年頭所感】一般社団法人全国旅行業協会 会長 二階俊博 氏
新年あけましておめでとうございます。2022年を迎えるにあたり、観光業界の皆様にごあいさつを申しあげます。
昨年は2020年来の新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず、全世界的にその対応に追われる一年となりました。我が国においても感染防止対策を講じた新しい生活スタイルの定着が進み、コロナ前の日常は非日常に形を変えました。旅行業界も同様に「県境を越える移動の自粛」が再三呼びかけられ、これまでの旅行スタイルは一変しました。自宅から疑似旅行を体験する「オンラインツアー」や少人数で近場の観光地をめぐる「マイクロツーリズム」などの需要が高まり、これまでの貸切バスなどを用いた団体ツアーの需要は低迷することとなりました。皆様のお客様の新たなニーズへの対応に追われ、苦心惨憺な日々をお過ごしになったことかと存じます。
一方で、昨年の秋口からはワクチン接種の広まりを機に新規感染者数が減少傾向に転じたことにより、全国で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され、新たな「Go Toトラベル事業」が再開されようとしています。Go Toトラベル事業は20年12月より一時停止されておりましたが、昨年10月に実施した「ワクチン・検査パッケージ」などの実証実験を経て、制度を見直したうえでリスタートすることとなりました。本事業に参画される皆様には、適切な感染防止対策を講じたうえで、本事業を活用し経営改善を図っていただくとともに、コロナ禍で落ち込んだ日本の観光業界を盛り立てくだされば幸いです。
本年の旅行業界のテーマは「コロナ禍からの復活」となります。当協会においても、旅行業界の発展に向けた事業を重点的に取り組んでまいります。本年3月9日には昨年3月に新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から開催を延期していた「第16回国内観光活性化フォーラムinやまなし」を山梨県甲府市で開催いたします。本フォーラムは、全国の旅行業者にご参集いただく当協会の一大イベントであると同時に、旅行・観光産業にとっても「コロナ禍からの復活」を期する重要な大会となり、これを機に旅行業界を盛り上げていければと存じます。
さらに、依然として回復の見通しが立たない海外旅行やインバウンドなどの国際交流についても、感染が収束している地域から順次再開されるよう関係省庁に要望してまいります。「観光産業は平和産業」と再三再四強調してまいりましたが、国際観光が盛んになることでお互いの国への理解が深まり、国民同士の絆が生まれ、さらなる旅行需要を生み出すこととなります。世界的なコロナ禍で外国の文化と触れ合う機会もほとんどなくなっておりますが、国際交流が復活を果たした暁には、今まで以上に多くの日本人が外国の文化に触れ、多くの外国人に日本の文化の素晴らしさを経験する機会を創出していただければと存じます。
観光が明るくなれば、世の中は必ず明るくなります。これまで培ってきた長年の経験と英知を結集して力を発揮し、旅行・観光を通じて全国各地の元気を取り戻し、世の中に明るい光を灯せるよう全力を挙げて、この難局をともに乗り越えてまいりましょう。
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