【観光業界リーダー年頭所感】株式会社JTB 代表取締役社長執行役員 山北栄二郎 氏
新春を迎え、謹んで新年のごあいさつを申しあげます。
昨年は、2020年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、国境を越える移動はもとより、国内においても、移動や外出が制限される期間が年間の大半を占める一年となりました。
ツーリズム産業を取り巻く環境は依然として厳しい状況ではありますが、国内における官民挙げての急速なワクチン接種の普及と、人びとの高い感染予防意識の浸透によって、徐々に交流の回復が期待できる状況になってきました。
この2年間、パンデミックに翻弄されながらもウィズコロナの新しい生活様式で求められる社会課題に真摯に向き合うことで、私たちは新型コロナウイルスに対する多くの知見を積み上げてきました。昨年夏に開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」における高度な感染症対策の実施などはその一例だと言えます。
2022年3月、JTBグループは創業110周年を迎えます。節目の年にあたり、『新』交流創造ビジョン(中期経営計画)は「構造改革フェーズ」 から、「回復と成長に向けたフェーズ」へと歩みを進めてまいります。
テーマは「改革を未来につなげる」です。
私たちはこれまでも人や企業・学校、地域の間に存在し、「つなぐ・つなげる」ことで価値を生み出し、お客様に認めていただけるよう努力をしてまいりました。これからもその価値を、社員のホスピタリティとデジタルの力を用いて、一人ひとりのお客様に一層寄り添う形でお届けできるように努力してまいります。
さらに、旅行にとらわれない多彩なソリューションにも応用し、例えば「地域振興や観光事業者様と進めるDX化」「企業内外のコミュニケーションやエンゲージメントの促進」「子どもたちへのSDGsの学びの提供」といった地域・社会課題の解決に向けて貢献してまいる所存です。
地域振興・活性化に関しては、全国各地のJTBの拠点に仕入機能を持たせる改革を実行し(福島、新潟、長野、高松、松山、徳島、高知、鹿児島(21年12月時点)22年度中に約30拠点まで拡大予定)、ツーリズム産業関連の皆さまとともに、期待されるインバウンド需要が回復したときにも、確実に対応できるよう加速させてまいります。
今年は、「第24回オリンピック冬季競技大会(2022/北京)北京2022パラリンピック冬季競技大会」「第19回FINA世界水泳選手権2022福岡大会」などの国際的イベントの開催が予定されています。来年以降も「ラグビーワールドカップ2023フランス大会」「第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)パリ2024パラリンピック競技大会」「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」といった、明るく心躍る大型イベントの開催が続きます。感染状況が落ち着いていることが大前提ではありますが、観客を招いた中で実施され、2025年には多くの訪日外国人旅行者で日本全国が賑わうことを期待してやみません。
パンデミックを経験し、人類にとって旅や交流の存在が重要かつ不可欠であることに改めて気づかされました。世界のすみずみに根差すツーリズム産業は、経済波及効果、雇用人数ともに、社会・経済に及ぼす影響は非常に大きなものです。JTBグループの企業活動ひとつひとつが、私たちの経営理念である「平和で心豊かな社会の実現」を体現し、持続可能なツーリズム産業の未来につながるものとなるよう、たゆまぬ努力を続けてまいります。
今年こそは明るい笑顔とともに、新しい交流時代が真に切り拓かれていくことを願い、新年のごあいさつとさせていただきます。
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