【観光業界リーダー年頭所感】北海道旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 島田修 氏
年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申しあげます。
はじめに、昨年3月26日、当社に対する経営支援策の根拠となる「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律」が成立しました。また3月24日には当社に対する車両導入の支援などを含む令和3年度北海道予算が成立しました。法律成立、予算成立にご尽力いただいた関係の皆様にあらためて深く感謝を申しあげます。
当社は現在、2018年7月に受領した監督命令を踏まえ、「中期経営計画」「長期経営ビジョン」を策定し懸命に取り組んでいるところです。このような中支援をいただくことに深く感謝申しあげるとともに、その意味を重く受け止め、「中期経営計画」の目標達成に取り組んでまいります。また、「長期経営ビジョン」の目指している「2031年度の経営自立」に向け、不退転の決意で経営改善を進めてまいります。
2021年を振り返ると、一昨年より全世界を襲ったコロナ禍が弊社の事業運営にも深刻な影響を及ぼしました。
緊急事態宣言の発令された8月には都市間特急列車のご利用が平常時の約4割になるなど、厳しい状態が続きました。
このような中、お客様、社員の感染拡大防止に取り組み、安心して鉄道をご利用いただけるよう努めてまいりました。「えきねっと」リニューアルの積極的なPRなど非対面・非接触型サービスの拡充や北海道新幹線を活用した貨客混載輸送及び鮮魚・駅弁定期輸送の開始などにも取り組んでまいりました。また、日高線鵡川―様似間については、4月1日に鉄道事業を廃止しバス転換をさせていただきました。
2022年は今後の見通しが不透明な状況で幕を開けましたが、感染防止に留意しつつご利用回復に努めてまいります。具体的には、「HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス」や「Go Toトラベル」などの国や北海道の事業を活用し道内のお客様、国内のお客様に鉄道をご利用いただくよう努めるとともに、各種キャンペーンの展開や今冬季よりリニューアルした客車(たんちょうカー)を連結した「SL冬の湿原号」といった観光列車の運行などで利用回復に努めてまいります。
今春にはダイヤ改正を予定しています。利便性・サービス向上に向け283系特急「おおぞら」をすべて261系に置き換えるほか、根室線(新得―釧路間)、石北線(旭川―上川間)にH100形を追加投入しキハ40の置き換えを進めます。さらに、札幌圏内で27年ぶりの新駅となる「ロイズタウン駅」を学園都市線に新設するほか、宗谷線では、通学利便向上のため東風連駅を移設し「名寄高校駅」とします。
開発・関連事業では、桑園駅近傍の社宅用地の開発を行うなど、保有不動産の開発を進めてまいります。
北海道新幹線札幌延伸に向け、札幌駅における新幹線高架橋工事に着手するとともに、札幌駅周辺再開発については、都市計画決定に向けた施設設計や環境アセスメントの諸手続きを推進してまいります。
地域交通の確保に向け地域の皆様となお一層の連携強化を図り、地域の皆様と一体となってアクションプランを推進してまいります。なお留萌線(深川―留萌間)、根室線(富良野―新得間)につきましては協議開始から5年を経過している事をふまえ、早期解決に全力をあげてまいります。
さらにコロナ禍からの回復、事業の再生に取り組むばかりでなくコロナ禍後の行動変容、デジタル化、働き方改革、カーボンゼロなど時代の変化に対応し、事業の再構築、進化を推進してまいります。
2022年も愛され親しまれる企業を目指し日々奮闘してまいりますので、引き続き格別のご配慮を賜りますようお願い申しあげます。
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