【観光業界リーダー年頭所感】東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 深澤祐二 氏
謹んで新年のお慶びを申しあげます。平素より、JR東日本グループに対し格別のご理解とご支援を賜り、厚く御礼を申しあげます。
昨年は2020年に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受け、直近の2021年度第2四半期決算はすべての利益で赤字を計上するたいへん厳しい内容となりました。さらに、お客さまのご利用の回復が当初の想定よりも遅れる見込みであることから、通期の業績予想も赤字へと下方修正することとなりました。
こうした状況の中、当社グループは、安全・安定輸送およびサービス品質の確保をベースに、お客さまや地域の皆さまをはじめとするすべてのステークホルダーの皆さまに新たな価値を提供すべく、グループ経営ビジョン「変革2027」で掲げた各施策を推進しました。「Beyond Stations構想」の策定や「JR東日本不動産投資顧問株式会社」の設立、「東北デスティネーションキャンペーン」の展開など成長・イノベーション戦略を再構築するとともに、「終電繰り上げ」や「オフピークポイントサービス」などのピーク需要の分散化、ワンマン運転・自動運転技術やスマートメンテナンスの推進など経営体質の抜本的強化も進めました。またESG経営を実践することで事業を通じた社会課題の解決にも積極的に取り組みました。
このコロナ禍で、世の中のライフスタイルの変容は一気に進みました。鉄道のご利用が、感染症拡大以前の水準に自然に戻ることはないと考えます。「変革のスピードアップ」で掲げた、「成長・イノベーション戦略の再構築」「経営体質の抜本的強化」「ESG経営の実践」の3つの軸に沿って、社員一人ひとりが、グループ経営ビジョン「変革 2027」で示した方針のレベルとスピードを上げていかなければなりません。2022年を「変化を恐れず果敢に挑戦する年」と位置づけ、引き続き、経営のトッププライオリティである「安全」をベースに信頼を高め、収益力の向上と構造改革に全力を尽くします。
具体的には、シェアオフィス事業「STATION WORK」の拡大や、「JRE MALL」と連携した駅のショールーミング化の展開などによる「Beyond Stations構想」のさらなる推進、「MEGURO MARC」などの多様な魅力あるまちづくり、「JRE POINT」を軸としたJRE生活圏の拡大など、新しい暮らしの提案や新領域への挑戦に取り組みます。また、シーズン別の指定席特急料金の改定といった「ピークシフト」や、設備のスリム化など、中長期的なコスト構造の変革も進めます。さらに、ハイブリッド車両(燃料電池)試験車「HYBARI」の実証実験やローカルDXを通じた地方創生など、ESG経営の実践によりSDGsの達成も目指します。
厳しい経営環境においても、各職場で日々の地道な業務を着実に遂行しながら、前向きにさまざまなチャレンジを続ける社員一人ひとりが、まさに「変革」の主役です。これまで以上にフレキシブルに働ける環境を整え、社員の活躍フィールドを拡げて働きがいを向上させていくとともに、生産性向上による経営体質の強化を実現し、当社グループのさらなる発展につなげていきます。
本年、鉄道は開業150年の大きな節目を迎えます。当社の5方面の新幹線がそれぞれ周年を迎える年でもあります。先行きの不透明な時代ではありますが、さまざまな変化を大きなチャンスと捉えて挑戦を続けることにより、ステークホルダーの皆さまのご期待に応え、社会の発展に貢献する企業グループとして持続的な成長を果たしていきます。
皆さまのますますのご健勝とご発展を心よりお祈り申しあげ、年頭のごあいさつといたします。
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