【観光業界リーダー年頭所感】西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 長谷川一明 氏
年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申しあげます。
昨年は、「中期経営計画2022見直し」に掲げる「変革・復興期」の取り組みの2年目として、今後の基盤を築く重要な年と位置付けてスタートいたしましたが、新型コロナウイルスの猛威は収まらず、鉄道を中心とする当社グループの各事業について、非常に厳しい経営状況が継続しました。
しかし、このような状況においても、社会インフラ企業グループとして基幹事業である鉄道の安全を確保し、地域のお客様の便利で快適な暮らしと、社会、経済の発展を支え続けていくという当社グループが担う使命に変わりはないとの認識のもと、鉄道の安全性向上をはじめ中計見直しで策定した取り組みを進めてまいりました。
とりわけグループとしての最重要課題である鉄道の安全性向上の取り組みについては最優先すべき価値観である「安全」を実現するための羅針盤として策定した「安全の実現に欠かせない視点」の浸透を図るとともに「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022」の目標達成に向け、ハード、ソフト両面で着実な取り組みを進めました。
厳しい経営環境に対しては、一時帰休などの緊急的なコスト削減やご利用に応じた列車ダイヤの適正化、不採算店舗の閉鎖などグループ一体での構造改革にも取り組み、当初の計画以上の効果につなげることができました。
加えて、当社エリアにおいて大阪万博などのマクロイベントや大規模開発プロジェクトなど様々な需要創出の機会が見込まれる中、今後の成長戦略の実現に向け、先んじて財務基盤を整えるため、新株発行による資本調達を実施しました。
一方で、需要回復に向けたプロモーションや、観光需要促進に向けた観光素材の整備などの地域共生の深耕、コロナ禍において定着した社会行動変容に対応したライフスタイルの提案など新たな価値創造の取り組みを進めました。
また、大きく変動する経営環境への変化対応力を高めるべく、MaaSアプリ「WESTER」やICOCAを基軸に、リアルタイムでの混雑状況の提供など、デジタル戦略を推進しました。
さて2022年は中計見直し、安全考動計画、「変革・復興期」の第・期の最終年度という節目にあたります。それぞれの計画に掲げる目標の達成とともに「変革・復興期」の第・期において具体的な成果に結びつくよう、これまでの取り組みを加速させていきます。
取り組みを進めるにあたっては「福知山線列車事故のような事故を二度と発生させない」という確固たる決意を持ち引き続き被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上の取り組み、変革の推進という「経営の3本柱」を引き続き経営の中軸に据えてまいります。
経営環境としては、新型コロナウイルスの脅威が消え去ったわけではなく依然不透明な部分もありますが社会にも明るい兆しが見え始めており、新型コロナウイルスに対する治癒薬の開発など新型コロナウイルス収束に向けた動きも着実に進んでいると感じています。
このような状況の中、本格化する需要回復の中で、お客様のご期待に最大限応えるため、社会行動変容も踏まえたサービス、商品の磨きこみに取り組んでいきます。
また、新型コロナウイルス収束後も従前の経営環境には戻らないとの認識のもと、構造改革や新たな価値創造、変化対応力の向上も引き続き進めていきます。
世の中が徐々に活気を取り戻す中、人々が安全・安心に移動できる環境を整えグループ一丸となって未来への道筋を描き、お客様をはじめとするステークホルダーの期待にお応えしてまいります。
皆様方のご健勝をお祈り申しあげ、ごあいさつといたします。
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