【観光業界リーダー年頭所感】四国旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 西牧世博 氏
謹んで新春のお慶びを申しあげます。平素よりJR四国グループに対しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。
昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響に翻弄されるなかで、先行きの見えない不透明な状況が続く厳しい環境となりました。
このようななか、2031年度の経営自立に向け、持続可能な経営体質の構築を目指す「長期経営ビジョン2030」および「中期経営計画2025」のスタートとなる重要な年として、新しい支援措置を活用し、安全・安心・信頼の確保を大前提として、「鉄道運輸収入の安定的な確保」「省力化・省人化による生産性向上」「非鉄道事業における最大限の収益拡大」を3つの柱と位置付けて経営基盤の強化に取り組みました。
事業運営にあたっては、ガイドライン等に基づく感染症拡大防止対策に引き続き取り組みつつ、2700系特急気動車の土讃線への追加投入による快適性の向上、パターンダイヤ導入などにより利便性の向上を図るとともに、「四国デスティネーションキャンペーン」の開催、「おでかけ。四国家2021」キャンペーンの展開によって鉄道の利用促進を図り、予土線での新たなラッピング列車の運転開始や四国を舞台とした映画とのタイアップなど新たな施策を展開しました。
また、宿泊特化型ホテル「JRクレメントイン今治」の開業、高松駅ビルの設計着手、松山市道後樋又、岡山市北区昭和町および高松市常磐町のマンションの第一期販売の開始など非鉄道事業の収益拡大に取り組みました。
2022年も引き続き、感染症拡大防止対策に万全を期し、お客様に「安心して」「喜んで」「末永く」ご利用いただける企業グループを目指して取り組んでまいります。
鉄道事業では、新たな「伊予灘ものがたり」の運行による観光列車の維持・充実、四国アフターデスティネーションキャンペーンや瀬戸内国際芸術祭2022を活用した商品設定などによる旅行需要の拡大に努め、多くのお客様をおもてなしできるよう取り組んでまいります。
また、チケットレス・キャッシュレスでご利用いただける新チケットシステムの導入に向けて検討を進めるとともに、多度津工場の設備更新にあわせた近代化などの省力化・省人化による生産性向上に取り組んでいきます。
このほか、運賃改定に向けた検討を継続します。
非鉄道事業につきましては、最大限の収益拡大に向け、四国外進出も見据えて運営力向上を図るホテルセグメントや、高松や松山などにおいて開発を進める不動産セグメントといった従来のセグメントに注力することはむろん、M&Aといった従来にない手法にも果敢にチャレンジし、グループ一体となって事業領域の拡大に取り組んでまいります。
コロナ禍の収束については予断を許しませんが、それを期待しつつ収入のリカバリーを図る1年として、ウィズコロナに対応できる「次の一手」を模索・実行し、グループを挙げて最大限の経営努力を行うとともに、当社単独では対処が難しい経営課題を国、地域、ご利用の皆様など関係者のご理解・ご協力を得て解決していくことにより、持続可能な経営体質の構築に向け全力で取り組んでまいりたいと思います。
当社グループと四国は運命共同体という認識のもと、交流人口の拡大と地域の発展に貢献する企業グループを目指してまいります。
今後とも、変わらぬご支援を賜りますようお願い申しあげます。
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