【観光業界リーダー年頭所感】東京都ホテル生活衛生同業組合 理事長 工藤哲夫 氏
新年あけまして、おめでとうございます。輝かしい新春を迎え、心よりお慶び申しあげます。
さて、コロナに苦しめられ早2年が過ぎました。
過去にも、我々を苦しめたものは、数多くありました。地震や台風、水害、噴火などの自然災害、そしてリーマンショックや通貨危機などの経済問題、地域的な紛争やテロ行為などの社会問題。枚挙にいとまがありませんが、全世界を一度に止めてしまうような事態は、第二次世界大戦以来かもしれません。
いや、第二次世界大戦ですら、戦場となったのは、欧州、アジア、北アフリカ、オセアニアなど限られた地域であり、逆にアメリカ本土は戦争景気で潤っていました。東日本大震災の時でも、西日本は正常に動いており、日本全体の経済が止まることはありませんでした。
主に他の場所から来られたお客様をお泊めする商売である宿泊業は人の移動があって成り立つわけで、地域を跨ぐ移動を禁止されたら死活問題となります。そんな状態を2年ちかく続けて来たのですから、その影響は甚大であると言わざるを得ません。
そしてコロナをきっかけに社会も大きく様変わりしました。リモートワークが日常化し労働の仕方も変わり、出張そのものの必要性も変わってきていると思います。
また企業側、特に労働集約型と言われる宿泊・飲食業において、一時的に労働力を抱えきれなくなった企業から他の職種や業界へ労働力の移動がなされ、今後従来の日常が回復した暁には深刻な労働不足が起こると思われます。すでに都心のホテルは稼働率が上がって来ていますが、人員を縮小したホテルや清掃会社では深刻な人手不足に陥っており、ホテルの清掃が追いつかない状況も出始めています。
コロナという我々には手の施しようがなかった要因が落ち着きをみせ、光が見え始めてきたことはたいへん喜ばしいことではありますが、コロナ前に悩まされていた諸々の課題が、再び悩みの種として起きつつあります。
コロナ後に再発するであろう労働問題や従来から求められて来た生産性の向上、持続可能な観光産業のあり方やその方向性など、我々が今まで解決できていなかった課題としっかり向き合い、未来に向かって舵取りをしなければならない時期が到来しました。皆様方とともに対処していきたいと思います。
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