旅行会社はパートナー 勝尾寺・小嶋副住職の考え(1) 1300年の歴史を紡ぐ
「1300年以上続いてきたお預かりものを次代へとつないでいく。そのパートナーが旅行会社なんです」。こう話すのは大阪府箕面市の名刹、勝尾寺の小嶋隆文副住職。2021年秋に全旅クーポン、協同組合大阪府旅行業協会(OATA)クーポンと相次いで契約し、拝観料に対して20%の手数料を設定した。ある旅行会社は「破格の手数料率」と感嘆の声をあげる。勝尾寺に小嶋副住職を訪ねた。
「祈り」感じてもらう 観光発展へ行動起こす
「勝運の寺」「勝ちダルマの寺」として知られる勝尾寺。西国三十三所第23番札所でもあり、約8万坪の境内に咲く桜やアジサイなど花々、秋の紅葉のスポットとしても人気を集める寺院だ。かつてはインバウンドも毎年1割以上増加していた。コロナ禍にあって20年3−5月は前年比を下回ったものの、2021年は各月とも19年比を上回る拝観者数を記録している。
小嶋さんは副住職として奉職するかたわら、日本青年会議所(JC)の活動を続け、今年は国際青年会議所の会頭も務めている異色の経歴。勝尾寺は長年、シーズンの渋滞が懸案事項だったが、小嶋さんは今秋その解決策を実証事業として市や警察に提案した。
「勝尾寺の駐車場は乗用車で365台しか受け入れられません。そのため紅葉の時期や正月には大渋滞が発生していました。本来なら千里中央駅(大阪府豊中市)から40分弱で着く路線バスが3時間40分もかかり、バス会社が路線撤退を申し出てきたぐらいでした。バスの遅延はもちろん、アイドリングによる国定公園の環境、箕面全体の観光を考えても良くない、そう箕面市長に掛け合いました」。その結果、21年11月の土日祝日、勝尾寺のアプローチ道路を一方通行にすることが社会実験として認められた。しかも片側一車線はバス専用レーンとして。
「千里中央駅からノンストップが実現しました。いずれのバスも満員で、ゆったりとお参りいただけました。マイカーから徐々に路線バス、貸切バスにシフトしていきたいと考えています。環境、渋滞問題はもちろん、勝尾寺が大切にしている『祈り』を感じてもらう機会にもなるからです」
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