テラモーターズとJTBグループが提携 持続可能な地域観光を構築(1) 充電中の時間をデザイン
日本の「EV(電気自動車)元年」といわれる2022年、充電インフラ網の確立を目指すTerra Motors(テラモーターズ、徳重徹代表取締役)とJTBグループのJTBコミュニケーションデザイン(JDC、古野浩樹社長)が業務提携し、観光・温泉地の旅館ホテルのEV充電器の普及に取り組んでいる。EVの弱点として航続距離が短いことや、充電に時間がかかることから、宿泊施設に充電設備を置くことで、持続可能な移動・観光基盤の構築を促しグリーントランスフォーメーション(GX)の実現を目指すというものだ。
エネルギーの地産地消
環境問題への意識向上や急速な技術革新によりEVの普及は急激に進むと見込まれているが、国内の移動のためのEV充電インフラの整備と、インフラを利活用したサービスの課題は少なくない。
そこで両社では、生活基点と目的地双方のEV充電インフラ網を拡充していくとともに、移動情報を活用したEV利用者に最適な情報・サービスを提供する基盤を構築、脱炭素社会を前提とした新たな移動・観光様式を提案し、サステナブルな社会に貢献することとした。

EV充電器のインフラ網構築が
観光を、旅を変える
具体的な業務提携・ビジネスモデルは3つ。
一つは、テラモーターズの充電器「Terra Charge」を設置し、最適な充電スポットを提供する。2025年までに新たに分譲マンション・商業施設・公共施設・スーパーなどに基礎充電インフラを1万基、宿泊施設・レジャー施設・アウトレットなど目的地充電インフラ5千基を目標として掲げている。

宿泊施設への導入を促す
充電器「Terra Charge」
もう一つは、設置したEV充電インフラを利用するアプリケーションおよび提供サービスの構築も図ること。・有償での充電サービスの提供・移動先、移動中の周辺コンテンツ情報のタイムリーな提供機能・設置した充電器周辺の飲食店などのお得なクーポン提供機能(充電中の過ごし方の提供)・設置した充電器に併設するサイクルシェアなどのモビリティサービスとの連携(域内回遊の促進)。
これらは、充電時間が長い、走行距離が短い、利用充電スポットに偏重があるなどEVの課題を逆手にとり、充電中の過ごし方についてサイクルシェアなどのアクティビティやグルメなどの観光情報を提供することで回遊周遊を促し、滞在時間の拡大や消費拡大に寄与することを掲げる。
さらに、データの活用やエネルギーマネジメントシステムとの連携についても▽充電データ・移動データ・移動中のコンテンツ購買データ等を活用した、ユーザーにパーソナライズされた情報の発信(見込み客への確度の高い情報発信による誘客)▽地域のエネルギー需要に合わせたダイナミックプライシングや出力調整によるエネルギーマネジメントへの寄与▽地産エネルギー(再生可能エネルギー)の供給によるエネルギーの地産地消の促進―を図っていく。
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