【観光業界リーダー年頭所感】株式会社日本旅行 常務執行役員西日本エリア代表 鈴木誠一 氏
新春を迎え、謹んで新年のごあいさつを申しあげます。
未来を10年早く連れてきたと言われる新型コロナウイルスによるパンデミックは、歴史的に見ても世の中を一変させ、旅行会社の役割をも大きく変えることになりました。西日本エリアでいち早く取り組んでまいりました「新たな社会課題をソリューションする企業グループ」というビジョンは、会社全体の本年度経営目標である「社会課題の解決による発展成長の確立」としてアップデートされ、よりWell―Beingな社会づくりに貢献しやすい営業体制となります。
そして、昨年からスタートした中期経営計画「覚醒」は、コロナ禍における早期黒字化の構造改革期から持続的成長を目指す発展成長期へと移行します。各エリアでの営業本部体制から本社直轄の事業本部体制に切り替わり、ソリューション事業とツーリズム事業を主軸とするポートフォリオ経営となります。これにより、全社的視点による経営資源の最適配分を推進するとともに、各事業戦略の実行性を高め、旅行や観光も包含した真の社会課題解決型企業への転換を目指してまいります。
私どもが社会課題の解決に向けた進化の過程で取り組んできた感染症対策や経済対策事業などの非旅行分野は引き続き取り組みを推進してまいりますが、一方で、大きな社会変容により、本業である「観光」も社会課題のひとつとなっています。
「観光とは何か」という問いの答えは、それぞれの時代において考えが異なります。人口オーナス期における日本で、世界的に持続可能な社会へと進展する中で、「観光とは何か」を問われれば、答えは「住民QoL(住民生活の質の向上)」となります。発地目線での商品づくりだけでなく、「着地住民の生活を豊かにする」という視点も持ちながら、複眼での商品造成に努めてまいります。特に人口減少が進む地方エリアにおいては、地域経済や社会をどう存続させていくのかが社会課題となりますから、日本人観光客やインバウンドなどの誘客は必須となる一方で、オーバーツーリズムによる環境への影響など解決すべき社会課題も散見されています。半年で1・5万人以上の移動によるCO2排出量を実質ゼロにした「JRセットプランカーボンゼロ」は課題解決の一つの答えと言えます。
本年度は、引き続き、カーボンゼロ商品の販売拡大や着地エリアのご要望を反映させた特色ある旅行商品を造成販売すると共に、店頭やウェブによる誘客プロモーションを展開するなど、送り手と受け手がウィンウィンとなる観光を基軸とした課題解決を図ってまいります。非旅行分野については感染症対策やフレイル予防等の健康福祉、メタバースやGHG可視化などのデジタル&グリーン、商品券事業などの経済対策を重点とした社会課題解決に向けて、JR西日本グループおよびアライアンスパートナーと連携した新たなソリューションを展開し、皆様とともにWell―Beingな社会づくりに向けて取り組んでまいりたいと思います。
本年もご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申しあげます。
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