【観光業界リーダー年頭所感】北海道旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 綿貫泰之 氏
年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申しあげます。
昨年は、過去2年に続き年間を通じてコロナ禍の影響を受ける一年となりました。そのような状況の中において、10月から全国旅行支援が始まり、また、外国からのお客様の水際対策も緩和されたこともあり、徐々にではありますが国内外のご移動・ご旅行の回復を感じることができました。引き続き、お客様や社員の感染防止に努め、安全・安心な鉄道輸送サービスを提供してまいります。また、昨年2月に二度にわたり札幌圏において記録的な豪雪に襲われ、札幌駅を発着する全列車が長期間運休することとなり、お客様・関係の皆様にたいへんなご迷惑をおかけいたしました。以降、冬期間の札幌圏の安定輸送確保に向け、設備の増強に取り組むとともに、北海道や関係の皆様とも相談し冬期の除雪体制の強化を図りました。今冬期は、その成果をしっかりと発揮してまいります。
「当社単独では維持困難な線区」については、8月に留萌線石狩沼田・留萌間を2023年3月末、深川・石狩沼田間を2026年3月末に鉄道廃止・バス転換することに合意いただき、鉄道廃止後の地域の交通体系について地元の皆様とご相談を進めております。
2023年は「中期経営計画2023」の最終年度であり、同時に次期中期経営計画を策定する年です。コロナ禍の影響が今後も残ると見込まれる中、「変革のスピードアップ」を目指す必要があると考えております。
コロナ禍による減収に対しては、引き続き徹底したコスト削減と収入確保策を打っていく必要があります。物価高・資源高・円安による動力費・光熱費などのコスト増の中ですが、業務の見直しや設備のスリム化を進めコスト削減に努めます。
収入確保に向けては、3月に北広島市に誕生する北海道ボールパークFビレッジの開業に合わせ、春のダイヤ改正において新球場で野球観戦をされるお客様に対応したダイヤ設定や普通列車の編成両数の見直しを行うなど、ご利用拡大を図ります。また、全国旅行支援などの支援事業を最大限活用してまいります。
開発・関連事業においては、当社グループの新規ブランド賃貸マンションの1棟目となる「ジュノール手稲」を開業します。引き続き不動産事業、ホテル事業、小売事業を中心に拡大・強化してまいります。
また、北海道新幹線札幌延伸に向けた工事や、札幌駅周辺再開発の各種工事がいよいよ本格化します。昨年の「パセオ」に続き今年は「エスタ」の閉店を予定しており、お客様にはご不便をおかけいたしますが、道都札幌の新しい顔となる新たなタワービルの開発をしっかり進め、札幌はもちろん北海道全体の活性化に寄与してまいりたいと考えております。
地域交通の確保に向けては、地域の皆様と一体となってアクションプランを推進するとともに、第2期集中改革期間終了時の「総括的な検証」に向けた準備を進めます。
本年も「長期経営ビジョン」に掲げた目標である「2031年度の経営自立」達成に向け、国や地域からの支援を有効活用し、経営改善を進めてまいります。
本年9月、函館線大沼駅構内貨物列車脱線事故から10年を迎えます。保線データ改ざん問題の反省と教訓を風化させないことが重要であり、今後も安全を最優先に取り組んでまいります。
厳しい経営環境にありますが、お客様と地域の皆様から愛され親しまれる企業を目指し日々奮闘してまいりますので、引き続き格別のご高配を賜りますようお願い申しあげます。
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