【観光業界リーダー年頭所感】西日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 長谷川一明 氏
謹んで新年のごあいさつを申しあげます。
平素よりJR西日本グループに対しまして格別のご高配を賜り、厚く御礼を申しあげます。
昨年は、2020年10月に見直した中期経営計画(以下、中計見直し)の最終年度として、変化対応力を高める企業改革に取り組み、変革・復興の第一ステップを成し遂げる年としてスタートしました。
新型コロナウイルスの影響に加え、不安定な国際情勢など、引き続き厳しい経営環境でありましたが、ご利用が回復するタイミングを捉えた需要喚起策など、グループ一丸となった取り組みの結果、中間期において三期ぶりに黒字を確保できました。一方で、厳しい経営状況は続いており、決して楽観できる状況にはありません。
このような状況においても、社会インフラを担う企業グループとして、基幹事業の鉄道の安全を確保し、地域のお客様の便利で快適な暮らしと、社会、経済の発展を支え続けるべく、中計見直しで策定した取り組みを進めてきました。
とりわけ、グループとしての最重要課題である鉄道の安全性の向上については、福知山線列車事故の教訓としてとりまとめた「安全の実現に欠かせない視点」に照らした課題の抽出と改善など、鉄道安全考動計画2022の目標達成に向けた取り組みを着実に進めました。
また組織変革、ご利用状況に応じた柔軟な列車ダイヤの設定やシステム化によるメンテナンスの見直しなど、構造改革を継続し高い目標に対して確実な成果を生み出しています。
加えて、これまでの事業運営で培った技術のソリューションとしての他社展開、ICOCAを活用した地域活性化などの新たな価値創造や、監査等委員会設置会社への移行などの経営機構改革、持続可能な地域交通の実現に向けた情報開示や地域との対話にも取り組みました。
2023年は新たに策定する中期経営計画に基づき、今後の進化・成長の礎を築く年と考えています。その中でも、安全が当社グループの経営の根幹であることに変わりはありません。「福知山線列車事故のような事故を二度と発生させない」との決意のもと、被害に遭われた方へ真摯な対応を行っていくとともに、さらなる安全性向上に取り組んでまいります。
他方、将来に目を向けますと、コロナ禍により、暮らし方、働き方など人々の意識は大きく変化し、社会的進化を遂げており、旧来の姿に戻ることはないと考えています。また、気候変動や人口減少などの社会課題の深刻さが増す一方、新たなニーズや機会も存在しています。
新たな中計の策定にあたっては、社会構造や人々の価値観の変化を単なる変化ではなく不可逆的な進化と捉え、当社グループの存在意義を改めて見つめなおし、今後の目指す姿を明確にした上で取り組みを進めてまいります。
取り組みの土台となるのは、鉄道を中心とした事業活動を通じて培ってきた組織能力や特徴的な経営資源です。グループとしてこれらを活かし、それぞれの事業の自律性を高めるとともに、事業間のシナジーを発揮し、さらには移動に連動しない分野にも事業領域を拡大していきたいと考えています。
また、サステナビリティの観点から、気候変動に対する取り組み、事業を支える変化対応力の高い人財への投資やガバナンスの充実を図っていきます。
本年は、モバイルICOCA(仮称)のリリースや、大阪駅(うめきたエリア)の開業など、これまで当社が進めてきたプロジェクトが花開きます。この機を捉え、将来に向けた力強い一歩を踏み出す年にしてまいりたいと思います。
皆様方のご健勝をお祈り申しあげ、ごあいさつといたします。
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