【観光業界リーダー年頭所感】九州旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 古宮洋二 氏
謹んで新年のお慶びを申しあげます。
平素より、JR九州グループに対しまして多大なるご支援をいただき、厚く御礼申しあげます。
昨年は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が過去最多を更新するなど当社グループにとって厳しい事業環境となりました。加えてウクライナ情勢の長期化や円安の進行に伴う物価上昇など先行き不透明な状況が続きました。
このような中、当社グループは昨年3月に「成長軌道への復帰」を目指した「JR九州グループ中期経営計画2022―2024」を策定し、昨年はそのスタートの年として、持続的で安定した黒字体質の実現に向けた事業構造改革の取り組みを進めました。また将来の成長に向けて、西九州新幹線の開業を起爆剤とした西九州エリアでのまちづくりや、新たな貢献領域での事業展開に取り組みました。
とりわけ昨年9月の西九州新幹線の開業では、開業後1カ月間でコロナ前と同水準の約20万人のお客さまにご利用いただき順調なスタートを切ることができました。地域の皆さまが参加する「かもめ楽団」を結成し各駅で開業を祝うプロモーションを展開するなど、開業イベントも大変な盛り上がりを見せました。10―12月の佐賀・長崎デスティネーションキャンペーンでは沿線の魅力を全国に発信し、さらにたくさんのお客さまにお越しいただいています。新幹線の開業効果を一過性のものとしないよう、知恵を出し地域のにぎわいをつくる取り組みを継続してまいります。
本年も新型コロナウイルス感染症は感染拡大、縮小の波が続くことが予想されます。一方で、行動制限を伴わない感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた動きが進み、特に観光業はインバウンド需要を中心に本格的な回復が見えてくるものと期待しています。
そのような中、当社グループは中期経営計画で掲げた「成長軌道への復帰」を確実なものにするため、2つ大きな課題に取り組んでまいります。
1つ目は、「沿線でのまちづくり」の推進です。西九州新幹線の終点、長崎駅では本年秋に新たなまちづくりの拠点となる「新長崎駅ビル」が開業します。また、途中の嬉野温泉駅では、特産品である嬉野茶の魅力を活かした温泉旅館「嬉野八十八(うれしのやどや)」を立ち上げます。沿線は魅力的な観光資源に恵まれており、これらの拠点や新幹線、新D&S列車「ふたつ星4047」を活用してお客さまの周遊を促進し、地域のさらなるにぎわいづくりに挑戦してまいります。
また、福岡都心部では本年3月に福岡市地下鉄七隈線の天神南駅から博多駅への延伸開業が控えています。延伸により福岡都心部に新たな人の流れが生まれ、博多駅のターミナル機能は一層強化されることとなりますので、この好機を活かした福岡エリアのまちづくりを推進していきます。
2つ目は、「新たなモビリティサービス」への挑戦です。2017年7月の九州北部豪雨で被災した、日田彦山線の添田―夜明間が本年夏に「BRTひこぼしライン」として復旧します。「ひと、地域、みらいにやさしい」をコンセプトに、地域の環境にも配慮した「電気バス」を含む彩り豊かな車両を導入し、駅は木材を活用した温かみを感じられるデザインにしました。学校や病院などの生活圏に25の新駅を設けることで、利便性も大きく向上します。地域の皆さまに親しまれ喜ばれる、新たなモビリティサービスとなるよう準備を加速してまいります。
本年も当社グループは、安全は最大の使命であるとの認識のもと、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策を講じたうえで、高い目標の実現に向けて、積極果敢に挑戦を続けてまいります。
皆さまの益々のご健勝とご発展を心よりお祈り申しあげ、新年のごあいさつとさせていただきます。
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