【観光業界リーダー年頭所感】一般社団法人全日本ホテル連盟 会長 清水嗣能 氏
2022年を振り返ると、当連盟としては創立50周年記念式典を開催したことが大きな節目でした。創立50周年を迎えるにあたり、我々は自分たちだけのために集まっているのではなく、観光立国日本の実現と地域の発展に寄与することが、団体が存在する社会的意義であり、我々のミッションであるとしてMVVSを策定しました。いわゆる理念であり、宿泊業を通して国の観光振興に役立つ存在になることを標ぼうしています。
また、連盟の名称もビジネスやシティといった業態を限定する言葉から最大公約数であるホテルだけにして、個性豊かな業態のホテルがともに集まることができますよう、21年4月に全日本ホテル連盟へと改称しました。会員数も準会員を含め1150軒を数えるに至り、大きな組織に成長しました。
この間、コロナ禍という予期せぬ災禍にも見舞われました。たいへんな時期でありましたが、この原稿を執筆している時、折しもW杯で日本が逆転してドイツに勝ったというニュースが何度も流れていて、監督や選手はみんなが一丸となってこのような結果を出せたと口々に言っています。私もまた、連盟活動において、よいTEAMに恵まれ、ここまでやってこられたことに感謝している次第です。TEAMの語源は「Together, Everybody,Achievement and More」であるという話を聞いたことがあり、「みんなでいっしょにより多くのことを達成しよう」という意味のようです。
もう一つ22年に達成したことがあります。それは、全国旅行支援で会社名での領収書が補助対象から外されなかったことです。Go Toトラベル事業では、「会社を助ける事が目的ではない」として、ビジネスでの出張などが補助制度の対象外とされました。当連盟は「我々ビジネスホテルの主な客層はビジネスマンであり、我々ビジネスホテルもコロナ禍で一様に疲弊している。廃業した役員のホテルもある。コロナ前にインバウンドが増え、東京オリンピックを控え、ホテルが足りないと言われて大都市を中心にどんどんホテルができた。そうしてコロナ禍がやってきた。テレワークをすすめ、人の動きを止めた。稼働が落ち、単価が落ちた」と、観光庁をはじめ国会議員の先生方に何度も何度も対象にするよう要望活動を続けました。全国旅行支援を始めるにあたり、その制度設計で、あらためてビジネスを対象外とするという案もあったようですが、当連盟がこれだけ言うのだからとのことで、ビジネスをも対象とすることが決まったのではと思っています。まさに、当連盟の存在価値が証明された瞬間でした。コロナ禍で失った利益を取り戻し、倒産こそしなくても満足にボーナスを出せなかったこの長く苦しい期間において、共に苦労した従業員のために少しでも報いてゆきたいと思います。
23年の年頭にあたり、連盟は常にサステナブルな組織でありたいと考えています。宿泊産業が直面する問題を一つ一つ解決しながら、末永く、会員のため、国のため、そして地域のために役立つ組織であり続けたいと願っています。
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