【観光業界リーダー年頭所感】京都府旅行業協同組合 理事長 森野茂 氏
昨年も数々のスポーツに感動しました。特にワールド・ベースボール・クラシック。大谷翔平選手を筆頭にメジャーリーガーの活躍で、強豪アメリカを倒し3度目の世界一に輝きました。プロ野球では、関西ダービーを阪神が制し38年ぶりの優勝で関西経済をけん引しました。
いまだ明るいとはいえない旅行業界は、大手旅行業者のコロナ関連業務の不正請求や、中小旅行業者の雇用調整助成金の不正受給、OTAの宿泊施設への支払い遅延など、残念なニュースが相次ぎました。コロナが5類に移行し、行動制限撤廃で3年ぶりに自由に旅行ができる環境が戻った一方で、観光バスのドライバー、ガイドや受け入れ施設の人手不足が深刻になっております。期待される大阪万博は開催まで500日をきり、前売り券発売など関係者全体で盛り上げていくべきところ、建設工事の大幅な遅れに加え、会場建設費の上振れが明らかになり不安定な状況が続いております。
その中で喜ばしいこともありました。当組合では桜の時期に岡崎桜回廊十石舟めぐりを実施しておりますが、これは京都府旅行業協同組合事業の大きな柱になっており、昨年はインバウンドの回復により大いに利益貢献ができました。ただ、もう一つの柱であるクーポン券発行は伸び悩み、コロナ前の水準には届きませんでした。特に海外旅行の戻りが非常に悪く、海外の物価高や円安、燃油サーチャージの増額が影響しているようです。国内旅行については団体から目的を持った小グループへと旅行形態が変容しておりますが、これは貸切バスの新料金も影響しているのではないかと思われます。数県で再開された全国旅行支援は都道府県ごとのルールを理解しなければならず、現場の作業は煩雑で大変です。何とかならないものでしょうか…。
様々なお客様のニーズに対応できるよう、旅行商品の企画や観光素材の発掘、富裕層向けの商品や付加価値商品の開発など、私たち中小旅行業者も準備していかなければなりません。持続可能な観光をキーワードに、今まで以上に関係団体と連携強化をはかり、研さんを重ねながら、組合員への情報発信は元より勉強会を開くなど新たな旅行サービスを創造し進化させていきたいと存じます。
京都の旅行業界から明るいニュースを届けられるように、2024年が皆様にとって、より充実した一年になることを祈念いたしまして、年頭のごあいさつとさせていただきます。
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