【観光業界リーダー年頭所感】公益社団法人国際観光施設協会 会長 鈴木裕 氏
あけましておめでとうございます。
新春にあたり激動する世界のなか、社会システムまでもが変革を求められるような情勢下において、当協会も今後を展望しなければならなりません。
当協会はホテル・旅館の計画・建設など観光に関わる技術分野の企業や専門家の集団です。これまでに、海外の一流ホテルの設備の調査研究から始まり、観光施設全体、さらに単体ではなく面としての観光交流空間、そして物理的空間だけでなく観光情報空間へと活動対象は大きく広がっています。CSV的思考「会員によし、協会によし、結果、社会にもよし」の三方良し、の理念で活動を行うと決めたことで活動の領域が広がって活性化しました。観光の本質はホスピタリティであるということに立ち返り、これらの活動を「もの」、「社会」、「自然」への3つのホスピタリティに整理しました。
最近、そうした活動からビジネスに発展する事例が出てきました。「木づかい活動」からは会員のナニックジャパンの地元木材を活用した木製ブラインドビジネスが生まれ、「LINKED CITY活動」からは100社を超える「LINKED CITYコンソーシアム」が誕生して全国展開しています。また、「木づかい活動」と「LINKED CITY活動」から岐阜県で「地場産木材によるコンテナハウス」ビジネスが始まりつつあります。すなわち公益社団法人である当協会は「観光技術の卵を孵す孵卵装置」「観光技術インキュベーションプラットフォーム」となったのです。
ルネサンス以来500年、人間中心の環世界はとてつもなく大きな富を生みましたが、一方で他の生命、自然、そして人間自身にも大きな犠牲を払わせています。今、地球的生存のために利己的思考から利他的思考への転換が求められています。
当協会が利他である公益活動でスタートアップを行い、利己であるビジネスの世界に展開して利潤を追求するという社会モデルが普及する夢を見ています。
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