【観光業界リーダー年頭所感】北海道旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 綿貫泰之 氏
年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返ると、長く続いたコロナ禍からアフターコロナへ移行したことに伴い、鉄道事業、開発事業それぞれにおいてご利用の回復を感じることができました。
3月には北広島市に「北海道ボールパークFビレッジ」が開業し、当社としても臨時列車を運行するなど初めてボールパーク輸送に取り組んだ年になりました。9月には大沼駅構内での貨物列車脱線事故から10年の節目を迎えました。改めて、事故等の反省と教訓を決して風化させないよう誓ったところであり、安全の確保、安全性向上に向けた取り組みを全社一丸となって進めてまいります。
また、現中期経営計画の最終年度として、各種取り組みを推進しました。当初想定しえなかったコロナ禍が計画期間中に発生したことから数値計画の目標は未達成となる見込みでありますが、長期ビジョンの達成に向けて「安全の再生」「経営基盤の強化」「持続可能な交通体系」等の取り組みは着実に進んでおり一定の成果が現れてきています。
本年、2024(令和6)年はアフターコロナ時代の中、当社の経営自立に向けた第二期の中期経営計画スタートの年になります。また、経営の根幹である「安全」についても「安全計画2023」に続く新たな中期の安全計画をスタートさせます。安全に終わりはなく、「あくなき安全の追求」を続けてまいります。
鉄道事業では、新幹線札幌延伸開業に向けて新幹線札幌駅工事を引き続き推進するとともに、今春のダイヤ改正では快速エアポートの増発と一部特急列車の全車指定席化を行い、インバウンドを含め回復する需要へ対応し、輸送力の強化、お客様の利便性の向上と収入の確保を図ります。また、ICカードKitacaを函館・旭川エリアに拡大し、キャッシュレス化を進め利便性の向上を図ります。
開発事業では、コロナ禍を教訓に外的要因にも強い「事業ポートフォリオの変革」を目指します。札幌駅周辺開発を引き続き推進しつつ、不動産事業、ホテル事業、物販・飲食事業の更なる展開を図るとともに、新たな事業領域へ挑戦することで収益基盤の拡大・強化を進めます。また、ラピダスによる半導体工場建設も好機です。増加が期待される千歳エリアの宿泊需要を取り込むべく、まずは千歳市内にJRモバイルインの2号店を3月に開業する予定です。
持続可能な交通体系の構築については、根室線富良野・新得間について、沿線自治体の皆様に合意いただき、本年4月1日のバス転換に向けた準備を進めています。今後も、地域の足を守る新たな交通体系にするために尽力する所存です。また、輸送密度200人以上2千人未満の線区についてはこれまでのアクションプランの取り組みに加え、今年度に実施してきた調査・実証事業の結果も踏まえデータとファクトに基づき「総括的な検証」を行い、あわせて「事業の抜本的な改善方策」を検討します。引き続き、関係の皆様と相談し、地域交通の確保に向けて取り組んでまいります。
依然厳しい経営環境は続いていますが、アフターコロナ時代となり多くの観光客の皆様が北海道にお越しになるといった明るい兆しが見えてきました。当社の事業を通じ北海道の魅力をさらに高めるべく日々奮闘してまいりますので、皆様の変わらぬご支援とご指導をよろしくお願い申し上げます。
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