【観光業界リーダー年頭所感】東日本旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 深澤祐二 氏
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
平素より、JR東日本グループに対し格別のご理解とご支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。
昨年は新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことで、当社グループもこれまでの制約から解き放たれ、「モードチェンジ」し、「ポストコロナ」と「インバウンド」をキーワードにお客さまの流動の促進と新しい価値創造に取り組み、2023年度第2四半期は全セグメントで増収増益となりました。具体的には「オフピーク定期券」の発売、北東北でのSuica利用エリア拡大、「復興ツーリズム」活動の立ち上げ、「茨城デスティネーションキャンペーン」の開催、更に「JRE POINTステージ」をスタートしました。インバウンド需要に対しては「東北の宝ものプロジェクト」を開始し、旅マエ・旅ナカ・旅アトで東北・上信越の魅力発信を行い、デジタル分野においてはSuicaとマイナンバーカードを連携させた「GunMaaS」のサービス開始など、地域と連携した取組みを進めてきました。組織再編により、お客さまや地域の皆さまに近いところでの価値創造を進め、社内には果敢にチャレンジするというムーブメントが数多く生まれてきたと感じています。また、6月には監査等委員会設置会社へ移行し、意思決定・業務執行の迅速化とガバナンスの強化を図り、11月には新たな安全5カ年計画「グループ安全計画2028」を策定し、リスクの先取りによる「究極の安全」の追求に取り組んでいます。
本年は、当社グループが持つポテンシャルを最大限に引き出し、「ヒト(すべての人)起点」で商品やサービスを「バリューアップ」していく年にしていき、更なる飛躍を目指します。2024年春には北陸新幹線が敦賀まで延伸開業し、山形新幹線にはE8系を導入します。これらを契機に、様々なキャンペーンを展開し、お客さまに価値ある時間と空間を提供してまいります。「生活ソリューション」に関わる事業では、Suica利用エリアの更なる拡大、デジタル金融サービス「JRE BANK」を開始し、当社グループならではの付加価値を提供することで、お客さまとの接点の拡大につなげていきます。また駅のインフラを活用した「Beyond Stations構想」では、駅でのオンライン診療も活用したサービス「スマート健康ステーション」の拡大、更に大型サイネージと一体の駅型ショールーミングスペースをオープンさせ、新たな発見・体験・交流の場を創出します。地方創生においては、「JR青森駅東口ビル」が開業、新潟駅高架下には新しい「CoCoLo新潟」が開業し、駅周辺の賑わいと交流人口の拡大を図ります。そして、いよいよ2025年3月には「TAKANAWA GATEWAY CITY」のまちびらきを迎えますが、こちらの準備についても着実に進めていきます。
これら事業の幅を拡大していくためには、多様な人材が活躍できる幅広い仕組みを創ることが必要です。ジョブ型人事運用に向けた採用や社内公募制異動、DX人材育成をはじめとしたリスキリングなどを通じて、重点・成長分野で活躍できる社員の育成にも力を入れ、社員がやりがいを持って能力を発揮できるグループを目指していきます。
当社グループは「モビリティ」と「生活ソリューション」という2つの軸で、事業活動を通じて社会的課題の解決に取り組み、地域社会の持続的な発展とSDGsを達成してまいります。お客さまや地域の皆さまからの信頼をベースに、鉄道や駅というリアルなネットワークだけではない、都市、地域、人とのつながりや技術と情報などのあらゆるネットワーク力を高め、すべての人の心豊かな生活を実現したいと考えています。
末筆ながら、皆さまのますますのご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げ、年頭のご挨拶といたします。
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