【観光業界リーダー年頭所感】九州旅客鉄道株式会社 代表取締役社長 古宮洋二 氏
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
平素より、JR九州グループに対しまして多大なるご支援をいただき、厚く御礼申し上げます。
昨年は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されるなど、行動制限の緩和や社会経済活動の正常化が一層進み、個人消費を中心に持ち直しの動きがみられました。
当社グループの経営成績もコロナ禍から徐々に回復しました。鉄道事業においては、とりわけインバウンド需要が非常に旺盛で、JR―KYUSHU RAIL PASSの販売数はコロナ前と同水準まで回復しました。一方で、鉄道運輸収入全体で見るとコロナ前の9割強に留まっている状況で、一昨年に立ち上げた「未来鉄道プロジェクト」を着実に進めることで鉄道事業の更なる収支改善を目指してきました。一昨年9月に開業した西九州新幹線は、無事開業1周年を迎え、武雄温泉―長崎間の開業後1年間のご利用人数は2018年度比で102%となるなど、順調なスタートを切ることができました。沿線においても昨年10月に嬉野八十八(うれしのやどや)、11月にアミュプラザ長崎新館が開業し、益々にぎわいを見せているところです。福岡エリアにおいては、コネクトスクエア博多等のオフィスビルの開発を着実に進めたほか、複合体験型アウトドア施設開発・運営など、幅広い領域にてまちづくりを推進しました。また、2017年7月の災害により不通となっていた添田―夜明・日田間は、8月に日田彦山線BRTひこぼしラインとして開業を迎え、平日・休日ともに多くのお客さまにご利用いただいております。
本年は、「JR九州グループ中期経営計画2022―2024」で掲げる目標を達成し、成長軌道への復帰を果たすための正念場の年です。早速今月には、長崎マリオットホテルが開業を迎える運びで、これにて新長崎駅ビルのグランドオープンです。西九州新幹線を基軸とした西九州エリアにおけるまちづくりの集大成とも言えます。3月には香椎線において自動運転(GoA2・5)を開始する予定です。これは国内で初めての導入事例となります。また、4月―6月にかけて開催予定の「福岡・大分デスティネーションキャンペーン」に合わせて新しいD&S列車「かんぱち・いちろく」の運行を開始する予定です。コンセプトの通り、“風土”すなわち、その土地の気候や地勢、そこから生み出される土地の食や風習、風景を五感で楽しむ列車を創り上げて参ります。こうした施策を担っていくのは人です。基盤となる「人づくり」を推進するため策定した新たな人事・賃金制度が4月からスタートします。JR九州グループの成長には、志をともにする人が当社グループに集い、モチベーション高く働くことが大事です。そのためには賃金はもちろんのこと、やりがいや働きがいも重要であり、新たな人事・賃金制度は、両方を合わせた制度になります。
少し趣きの変わった話をさせていただくと、JR九州の良さは、コミュニケーションにあると思っていましたが、コロナ禍により滞ってしまいました。再び活発なコミュニケーションを図れる良い会社にしていきたいと思いますし、併せて、今後は、当社グループの「あるべき姿」や「おこない」をテーマに、これまで大切にし、これからも大切にすべきJR九州のブランドについて、社員としっかり認識を共有した上で様々な施策を進めていく必要があると考えます。昨年10月に立ち上げた「コーポレートブランド戦略プロジェクト」を中心に、次期中期経営計画を見据えた議論を推進して参ります。
本年も当社グループは、“あるべき姿”である「安全とサービスを基盤として九州、日本、そしてアジアの元気をつくる企業グループ」の実現に向けて、挑戦を続けて参ります。
皆さまの益々のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
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