【観光業界リーダー年頭所感】東京都ホテル生活衛生同業組合 理事長 工藤哲夫 氏
新年あけましておめでとうございます。輝かしい新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。
振り返れば、新型コロナウィルス感染に苦しめられた4年の月日が過ぎ、感染症分類が2類から5類に引き下げられ、スポーツ観戦や大型イベントが制限なしで実施されるようになって国内の状況はほぼ日常を取り戻しつつあります。
特に一昨年の秋以降、諸々の規制緩和が進み、インバウンド復活と国内人流の活発化により、宿泊・観光業が本格的に回復してまいりました。10月には、単月で2019年の入国者数を上回るなどコロナ前を超し、まさに、コロナ禍の苦しみから抜け出し次のステップに向かうジャンプの年となりました。
しかしながら、コロナ期間中は、陰に潜んでいた人手不足問題が宿泊・観光業だけではないにしろ、深刻な状況となり、手当てできる人員に合わせて販売客室数を決める施設も出てきております。日本全体の就労人口が減っているので、当然の結果といえばそれまでですが、これからは国が進める特定技能制度を活用する等、外国人の活用をさらに進める必要が高まってくると思います。
そして何よりコロナ期間中に大きく人材の流出が起こった宿泊・観光業界ですが、賃金や職場環境、働き方等を見直し、離れた人たちが戻ってきたいと思わせるような魅力づくりも必要です。
また、インバウンドは中々上げられなかった宿泊単価の壁をいとも簡単に乗り越えてしまいました。これは円安やデフレ経済の影響もありますが、インフレの進んだ海外諸国と日本の価格差によるものが大きく、インバウンドからすれば「安い日本」、我々からすれば「高い海外」と映る訳で、国内の商取引で超えにくかった壁が、インバウンドの力を借りて乗り越えることができた訳です。近年停滞しているといわれる日本経済にインバウンドという要因が大きな刺激を与えてくれている訳で、経済を立て直す良いチャンスかもしれません。
地域や業種よっては、まだインバウンド効果が享受できないところもあるかも知れませんが、経済は循環しますので、享受できているところから上手く活用して経済の活性化に繋がればありがたいことだと思います。
日本には世界中の人々を引き付けるポテンシャルがあります。その良さをさらに広めることと合わせ、日本人の「おもてなし」を観光・宿泊業界全体でさらに浸透させ、今年は昨年以上のステージに向かう年にしたいと思います。コロナを乗り越え、さらなる「上昇気流」を掴み、昇龍の如くより一層の高みを目指す1年となるよう、業界の皆様方の知恵をお借りして、新たな宿泊業の発展を模索してまいりたいと存じます。
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