【観光業界リーダー年頭所感】一般社団法人全日本ホテル連盟 会長 清水嗣能 氏
全日本ホテル連盟は、2022年11月15日に1年遅れではありましたが50周年を迎えました。その50周年を契機に、連盟の名称を変更し、会の理念をまとめたミッション、ビジョン、バリュー、ステートメント(MVVS)を策定し、そのミッションを具現化する活動として地域活性化のためのタウンミーティングを行うようになりました。これは長期的なスパンでの大きな見直しであり、位置づけでした。
そして、2024年は50周年を経て2年目であり、会長として4期目を迎えています。コロナ禍も5類への移行を機に客足も顕著に戻っている一方、連盟もコロナ禍でできなかった活動を久しぶりに再開する予定です。本年においては、「国づくり」のための海外インバウンド事業の実施、「会づくり」のための連盟の諸規程の見直し・整備、「人づくり」のための会員増強セミナーの開催、海外研修旅行の実施を計画しております。
また、新型コロナ感染症の流行が始まった2020年の年明けからの3年余りの間、宿泊施設において感染しているお客様の宿泊を断ることができなかったことなどを踏まえて、昨年6月に旅館業法が改正されたことも宿泊業界全体として大きな出来事でした。改正法は昨年12月13日から施行されましたが、施行を前に厚生労働省の主催による検討会が開催されました。この検討会において、障害者に対する必要な配慮を検討することを目的として宿泊予約の際に事前に障害について申告することを求めることは不当な差別的取扱いには当たらないこと、宿泊施設に余裕がないときはこれまでと同様に宿泊をお断りできることについて確認できました。さらに、検討会の場で、3年後の改正法の見直しにおいては従来の旅館業法を宿泊業法に改称してほしいこと、アメリカの公共施設法のように宿泊業者が宿泊を拒めることを前提にした上で、障害者等に対しては拒んではならないとする順番が望ましいのではないかとの意見を申し上げました。
振り返りますと、コロナ禍で、国に対して商用旅行を補助対象にしてほしいと要望することなど、他の宿泊団体が言わなくても、この連盟だからこそ発信すべきことをしてまいりました。業界を取り巻く法律や制度は多く、時代の流れと共に見直すべきこと、規制緩和すべき諸問題は多くあります。ホテル経営をしていると、そうした疑問に感じられることがありますが一人では対処できないことでも、こうして我々ホテル連盟という団体があるからこそ、国に要望し解決に至ることもあります。言うなれば連盟活動の基本は、“One for All,All for One.”です。会員のコンセンサスを得た上で業界の改善に役立つ頼もしい存在です。
連盟はTEAMです。“Together,Everybody,Achievement,and More”の略であり「みんなが、集まって、より多くのことを、成し遂げよう」という意味に解釈します。新年を迎えるにあたり、あらためて良いTEAMづくりにまい進してゆく所存です。
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