楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

【観光業界リーダー年頭所感】国土交通省近畿運輸局 局長 岩城宏幸 氏

新年、あけましておめでとうございます。令和7年の年頭にあたり、謹んでごあいさつを申しあげます。

昨年を振り返りますとようやく観光需要が復調し、訪日客数が3千万人を超えるなど、関西においても観光を中心に人流が活性化してきました。

そしていよいよ、本年4月には大阪・関西万博が開幕いたします。万博の開催に伴い、本年はより一層の観光客の増加が期待されております。関西経済のさらなる発展のためには、交通・観光産業の活性化が必要不可欠です。当局としましては、万博を最大の好機と捉え、様々なプロジェクトを進めております。本年も引き続き、関係機関と緊密に連携しつつ、総合的な支援を講じてまいります。

一方で、交通・観光をはじめ多くの業界において人手不足の問題が顕著化し、昨年は所謂「2024年問題」として報道でも頻繁に取り上げられました。加えて、昨今の円安や物価上昇、世界情勢等により、原材料・燃料価格は高止まりの状況にあります。

本稿をご覧の皆様の多くは、このような厳しい経営環境下においても物流網や地域の公共交通の維持に、日々ご尽力いただいていることと存じます。このように困難な状況下ではありますが、政府による支援等も最大限にご活用いただき、着実に対応を進めていただきたいと存じます。

交通・観光に関して、近畿運輸局では「2025年大阪・関西万博に向けた観光政策と交通政策の一体的な推進」「公共交通の整備・維持確保」「生産性の向上と人材の確保・物流取引の適正化」「交通の安全・安心の確保」「環境・バリアフリー対策の実施」の5つの柱を中心に進めてまいります。

昨今の観光動向としまして、インバウンド数、消費額において成長が続いており、関西においても、さらなる需要の拡大が期待されるため、「観光立国推進基本計画」などの政府方針を踏まえつつ、関西経済を支える観光関係事業者の皆様方と、「住んでよし、訪れてよし」の持続可能な観光地域づくりに向けた施策を推進しているところです。

こうしたなか、本年いよいよ開幕いたします大阪・関西万博は、関西全体に国内外からの注目と消費支出による経済効果をもたらすことが期待され、当局においては令和5年8月に策定した「大阪・関西万博に向けた関西観光アクションプラン」のもと、誘客プロモーションのほか、関西全域を「万博会場」各地域を「パビリオン」に見立て、万博来場者の関西周遊の促進に向けた取組みを進めてまいります。具体的には、旅マエから地域の魅力を情報収集しやすいようウェブ上で「関西観光展」を開催することや、関西国際空港到着口に「観光PRブース」を設けることなどにより、万博来場者による賑わいを大阪から関西全域へとつなげ、さらに全国へと広げることで、関西から観光立国への更なる発展に貢献したいと考えています。

一方で、急速なインバウンドの回復や国内の観光需要の回復に伴い、一部の地域及び期間、時間に観光客が集中し、混雑やマナー違反による地域住民生活への影響が散見されるほか、観光客の満足度低下への懸念が生じています。こうしたいわゆる「オーバーツーリズム」の未然防止対策にも、それぞれの地域実情に応じた支援をしてまいります。

このように、当局では、関係者や地域と連携しながら、関西の魅力を余すことなく発信することにより、万博終了後も地域の活性化や観光資源の掘り起こしなど、国内外交流の拡大に向け取り組んでまいります。

その一つとして、関西広域でシームレスな移動手段を提供すべく、観光・経済団体や国・自治体等多様な関係者とともに「関西MaaS推進連絡会議」を立ち上げ、交通と観光が一体となった「関西MaaS」の取り組みを推進しています。関西の主要鉄道事業者がすべて参加する「関西MaaS」は、大阪・関西万博において会場までの経路検索や主要駅から会場までのシャトルバスの予約決済等に使用されますが、このほかにも交通・観光分野をはじめとする幅広い業種間での連携を促進しつつ進められています。万博を契機として各地域において魅力的なコンテンツやイベント等の増加が見込まれますので、広域的なMaaSの効果は大きいと期待しております。

万博には、国内外から多くの来場者が見込まれますが、そのうち大多数が鉄道やシャトルバスを利用して会場に向かうことになります。安定した来場者輸送の実現に向けて、当局としても、交通事業者や博覧会協会などの関係機関と緊密に連携しながら対応してまいります。また、万博の会場へのアクセスには水上交通によるものも計画されており、船舶の運航にあたっての安全・安心の確保にも取り組んでまいります。

主要駅および舞洲駐車場と万博会場を結ぶシャトルバスにおいては、その一部に自動運転バスを導入するための準備が進められており、レベル4自動運転の実装に貢献するべく、必要な知見の提供や助言を行ってまいります。

また、令和4年10月に交付が開始された「大阪・関西万博特別仕様ナンバープレート」については、順調に申込件数も増えているところです。万博の開催機運をより一層醸成するため、引き続き、普及に取り組んでまいります。

以上、新しい年を迎え、所信を申し述べました。

関西経済の活性化を図るため、本年も全力を挙げて各種施策を推進し、交通・観光行政を通じて、皆様の豊かで快適な生活の実現に貢献してまいりたいと考えております。

本年も引き続き、近畿運輸局の行政に対し、皆様方からのご支援、ご協力を賜りますよう心からお願い申しあげ、新年のあいさつとさせていただきます。

年頭所感

この記事をシェアする
購読申し込み
今読まれているニュース
地旅
今すぐにでも出たくなる旅 最新
新幹線効果で賑わう・魅力充実北陸―福井編

2024年3月の北陸新幹線福井・敦賀延伸により新駅が開業した石川県加賀温泉郷や福井県あわら...

新幹線効果で賑わう・魅力充実北陸―石川編

2024年3月の北陸新幹線福井・敦賀延伸により新駅が開業した石川県加賀温泉郷や福井県あわら...

未来へつなぐ四国「おもてなし」の魂・愛媛編

「四国はひとつ」の旗頭のもとに4県がひとつになって観光振興を進める四国。その根幹は、四国八...

トラベルニュース社の出版物
トラベルニュースat

観光・旅行業界の今に迫る面白くてときどき役に立つ専門紙。月2回発行

大阪案内所要覧

旅行業務必携。大阪にある全国の出先案内所収録。24年版発売中!

旅行業者さく引

セールス必携。近畿エリア全登録旅行業者を掲載。22年版発売中!

夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ