【観光業界リーダー年頭所感】国連世界観光機関(UNTourism)駐日事務所 代表 本保芳明 氏
新年あけましておめでとうございます。2025年の幕開けにあたり、観光業界の皆様に一言ごあいさつ申しあげます。
24年、国際観光はパンデミックからほぼ完全に回復し多くの国・地域でかつての水準を超える観光客を受け入れる結果となりました。日本でも観光収入が大幅に増加しパンデミック前の1・5倍以上となりました。25年も観光業界にとって明るい年になることを期待したいと思います。
パンデミックからの復興の過程で、世界はより持続可能で、強じんで、包摂的な観光を志向しています。そうした中で、日本においても、観光庁の支援のもと、各地で持続可能な観光に向けた取組が進められ、多くの地域や事業者が成果を挙げていることはたいへん素晴らしいと思います。
そのひとつに、UN Tourismが持続可能な観光を目指して取組を進める農漁村地域を表彰する「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」があります。昨年、山形県西川町と鹿児島県天城町が新たに選定され、国内の選定地域は計8地域となりました。また、地域同士の連携を強化し、情報共有や相互啓発を図るための連携協議会が設立されましたが、これは世界でも類を見ない画期的な取組です。今後、日本の「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」が世界をリードする存在になっていくことを期待しています。
また、パンデミックから回復した今こそ、観光業界においても、自然災害や疫病などの影響を最小限に食い止めるために備えを強化していくことが重要です。昨年11月に仙台において、観光庁とUN Tourismの連携のもと「観光レジリエンスサミット」が開催され、関係者が取り組むべき方向性を示した「仙台声明」がとりまとめられたことは意義深いことです。当事務所も、この機会にシンポジウムを観光庁と共催し、観光と防災に関係する国際機関、行政機関、事業者、有識者を招いて、過去の経験を今後の備えにどう活かすべきかについて議論いただきました。引き続き、国内外の知見・知識の共有や、研修やワークショップなどの学習の機会の提供を通じて、観光業界が将来の危機に備え、柔軟に対応できるように貢献してまいりたいと考えています。
25年も関係者の皆様と緊密に連携しながら、持続可能な観光の実現に向けて、世界の知見を地域の実践へ、地域の取り組みを世界に発信する架け橋として、共に歩みを進めてまいりたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
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