【観光業界リーダー年頭所感】公益社団法人国際観光施設協会 会長 鈴木裕 氏
あけましておめでとうございます。
【世界の目は日本に】
昨年は大谷翔平さんの活躍で日本に世界の注目が集まりましたが、それだけでなく身近に海外からの人材、お金も流入してきているように感じます。世界が分断されつつあり混迷の度を深めているなかで世界の目が日本に向いてきている気配を感じるのです。
世界は消去法により今まで見過ごしていた東アジアにおける日本の価値を再認識した感があります。コロナ明けの西欧・アジア地区からのインバウンドの爆発的増加がその流れを加速しています。すでに知られているようでも実は未知の国であった日本の魅力は世界に拡散し観光ビジネスのチャンスを捉えるべく投資家、ホテルオペレーターが雪崩れを打って日本市場に参入してきています。観光のみならず日本企業価値の見直しがあることは言うまでもありません。日本の不動産事業では海外からの人、金の流入によりオフィス、マンションに続き、富裕層対応のホテルを中心とするホスピタリティ施設も脚光を浴びてきています。
【日本はもっと奥深い国】
日本は南北3千㌔亜熱帯から亜寒帯に至る四季に恵まれた美しい国土を持ち、自然が産み出す山の幸、海の幸に恵まれた世界に冠たる食文化を持っています。しかし4つのプレートのせめぎ合いによる大震災、集中豪雨による洪水災害などの災害大国でもあることで美しくも悲しい文化が培われてきました。そして古より外来文化を吸収・会得することで創造された文字言語により他に類を見ない独自の文化へと昇華したのです。日本人も忘れつつあるその価値を世界の人々が見つけ発信し始めているのです。埃を被っていた地方の宝は次々に見つけられ磨きなおされて光を放つようになってきました。その光を観に人が訪れます。観光です。
【これからはウェルビーイングの時代】
人口爆発の危機を危惧されていた世界も経済発展の進展に伴いフロンティアを失い人口も減少に転ずると言われており、この傾向は先進国では日本を先頭にすでに始まっています。そうした近未来、ある程度まで経済的に安定した社会では必要以上のものを求める刺激的世界は縮小し、美しく健全に生きるウェルビーイングな世界が求められるようになってきました。
そうした流れの中で日本文化に育まれた精神、身体の健康的生活に注目が集まってきているように思います。順調に伸びている世界のウェルネスビジネスも従来のコンセプトの枠を超えて飛躍するべく、日本の伝統的ウェルネスを研究し始めていて日本の五感+第六感について注目が集まる気配を感じます。
すなわち1味覚(お茶、発酵食品)2視覚(四季の自然、一服の絵、一輪の花)、3聴覚(風、水、虫の音)、4臭覚(御香、檜)5触覚(なぐり、なめし、さめはだ)6第六感(森林浴、坐禅、温浴、茶事)
正月気分でそんなことをつらつら考えていると、日本のウェルネスが世界に穏やかさを取り戻すきっかけとなることも夢ではないように思えてきました。
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